「働き方改革」について思うこと

2018.03.20(TUE)

米国トランプ政権が仕掛ける貿易戦争、動き始めそうな北朝鮮問題等、対応しなければならない国際問題が山積する昨今、日本では森友問題が再燃し、安倍政権の先行きが怪しくなってきました。新年度を迎えるタイミングで、経済政策が停滞することも危惧されます。

ところで最近、個人的に安倍政権が掲げている「働き方改革」に注目をしていたのですが、残念ながら足元では「それどころではない!」といった感じです。そんな困った状況ではありますが、本日は「働き方改革」について私見を述べてみたいと思います。

今後の日本経済の成長を考えた場合、アベノミクスの3本の矢のうち金融緩和、財政出動の効果は賞味期限が切れてきており、政府や日銀ができることは限定的になってきました。

今こそ真の意味で、強力な3本目の矢(規制緩和)を放たなければなりません。
「民間の活力を引き出す」ことでしか、今後の日本経済の成長はないからです。

その規制緩和の中で最も大きな柱が「働き方改革」です。

経済成長(GDP成長)=「生産労働人口の増加×労働生産性の向上」ですから、働き方改革は、長時間労働の是正、同一労働・同一賃金等の社会政策的な側面だけでなく、女性や高齢者の労働市場への参加率を上げつつ、ITやロボットの活用や柔軟な働き方で労働生産性を高めていく経済政策の側面を併せ持つものなのです。

1億人総活躍というキャッチフレーズに象徴されるように、現在の安倍政権の経済政策の根幹には「個々の生産性を上げるというコンセプト」があります。

私もこのコンセプトに大いに賛同しますが、一方で首相官邸から発表されている「働き方改革実行計画(工程表)」を読んでみると、働く人の処遇改善策について、思いつくままに羅列しているだけのようにしか見えません。正直このレポートを読んで、今後の日本経済が成長していくイメージが全く湧いてこないのです。

どんな時代でも、働くうえで障害になるものは存在します。政府が制度面からその障害を取り除いてくれるのは大変好ましいことですが、障害さえなくなれば、個々人の生産性が向上していくというのは幻想だと思います。

結局のところ、自分自身の生産性向上を実現できるのは、自分自身でしかありません。

そして人生には、障害を乗り越えるという経験こそが、成長を促すという側面があるわけですから、政府が度を越して個々人の働き方に口を出すことは、あまりいいことではないと思います。

また個人をあまりにも法律で守ろうとすれば、逆に企業活動の自由度を奪ってしまうリスクもあるわけです。

ということで、個人的には政府主導の「働き方改革」には期待しないで、自分自身で「働き方改革」を実践していこうと決意した次第です(笑)。パーソナルファイナンス的には「人的資産の運用計画を修正する」という言い方もできます。

新年度を迎えるにあたって、皆さんも是非「働き方改革」について考えてみてはいかがでしょうか?

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