今朝の日経新聞で、日本の2023年の出生数が過去最少の75万人と報道されました。
30歳になった私ですが、そういえば、自分が生まれた頃から“少子化”というキーワードは常に聞かされてきたような気がします。実際に、30年前の出生数を調べてみると、1993年の出生数は119万人でした。なんと、今の出生数は、既に少子化とさけばれていた30年前と比較しても、40%弱減っている計算になります。改めて数字で見るとぞっとしますね。
必ずと言っていいほど少子化とセットで語られるのが、年金の話です。
日本の年金制度は、現役世代から徴収した保険料で、現在の退職世代の年金をまかなう”賦課方式”を採用しています。つまり、現役世代が退職世代を支える仕組みです。
毎年生じる保険料の余剰金をGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が将来に備えて運用しているとはいえ、このスピードで急激に少子高齢化が進むようでは、私たちが将来受け取る年金の減少を避けることは難しいでしょう。
月並みではありますが、やはり私たち現役世代にとっては、今のうちからNISAや企業型DC(あるいはiDeCo)を活用して老後に向けた資産形成を始めるべきであるとは言えそうです。
ところで、定年まで働いて退職後は年金のみで生活するという、昔ながらのパターンの老後を送る人は減少傾向にあります。私が以前勤めていた会社でも、定年後に再雇用の形で働く方が多く、チームの半数以上は60代以上の社員で占められていました。働き方は依然と比べてより多様になり、60, 70歳以上で働くことが一般的になりつつあります。
そういう意味では、単純に年齢で区切って、「少ない現役世代が大量の退職世代を支えている」「このままでは日本の年金が破綻する」といった極端な議論は少し乱暴なような気がします。実際には、保険料は労働している人が払うので、高齢でも働く人が増えれば、保険料の担い手が急激に減少するということはありません。
金融機関の人間が将来の不安を煽り、「老後に向けた資産形成」という言葉をよく使いますが、あたかも、ある時点でピッタリ働くことを辞め、残りの人生はそれまでの蓄えを食いつぶしていくようなイメージを抱きます。
しかし、少子高齢社会が行くとこまで行き着き、高齢で働くことが普通になった社会において、「老後」という明確なタイミングは果たしていつなのでしょうか?
60歳を超えても働き続けなければいけないというと、ネガティブなイメージを持つかもしれませんが、今と昔では、働き方やテクノロジーの進化が全く異なります。
寝る間を惜しみ、週6日稼働でサラリーマン生活を駆け抜けてきた世代と比べて、私たちの世代は、有給取得、残業規制、長期休暇等が当たり前になってきました。テレワークの普及やソフトウェアの進歩もあいまって、少なくともホワイトカラージョブの領域では、昔よりも労働における肉体的負荷が減っています。
未来の私たちには、実は明確な「老後」という区切りはなく、もしかしたら、「年金を受給しつつ、足りない分を、週に2,3日だけメタバース空間でバイトのように稼ぐ」のような世界も想像できます。
企業型DCやiDeCoは60歳を超えれば、働いていても受給が可能です。もちろん、30代からこれらのツールを活用して、将来に向けた資産形成をコツコツとやっていくことは私たちにとって重要だと思いますが、明確な「老後」のない未来の世界を見据えると、自分の知識やスキルを常にアップデートし続け、30年後も労働市場で通用する自分を維持していくことも重要なのではないかと思い始めています。
20代の頃は、「ウサギとカメ」は嘘で、最初に走り切らないと、早く成果を出さないと周りから評価されないといった漠然とした不安や焦りを持っていましたが、30歳を迎えた自分が今一番重要に感じることは「カメ」のスタンスです。
新NISAのスタートや日経平均最高値更新を受け、俺たちもこの波に乗って早くFIREしてえ!という雰囲気を社会からビンビンに感じるようになりましたが、私たちは「カメ」のスタンスでゆっくり着実に山を登っていきます。そして、もしかすると、ゴールは山頂にはないのかもしれません。