一貫性と「選択のパラドックス」

2024.10.23(WED)

長期的に運用実績を出すために何が一番大切かと問われたら、個人的には「一貫性」かなと思います。

長期投資における一貫性は、その名のとおり「長期の視点」で投資をすることですが、予期せぬニュースやマーケットの変動で、残念ながら、多くの人はすぐに「短期の視点」に変わってしまいます。

さらに言えば、資産運用を学べば学ぶほど、情報が多くなれば多くなるほど、この一貫性を保つのが難しくなります。これは巷でよく知られる「選択のパラドックス」というやつです。

下記は、「選択のパラドックス」をネットで調べた内容の要約(受売り)ですが、ご参照ください。

「選択のパラドックス」とは、選択肢が多すぎると逆に何も選択できなくなるという心理。情報処理の負荷がかかり、逆に満足度が低下する現象。ジャムの法則(アメリカの心理学者バリー・シュワルツが提唱)とも言われる。

事例①スーパーの陳列棚に、あまりにも多くの種類のジャムが置いてあると、選択肢が多すぎて、どれを買えばいいか迷ってしまう(ジャムの法則)。

事例②恋愛のマッチングアプリでたくさんの異性と出会っていると、誰と付き合えばいいのか分からなくなってしまう。

事例③株・債券・投資信託など、投資商品の選択肢が多すぎて、どの商品を選べばよいかわからない。それぞれの投資商品にはリスク・リターン・投資期間など様々な違いがある。

さらに「選択のパラドックス」は、以下の4つの心理メカニズムで作用するとのこと。

①情報過多による判断疲労
選択肢が多すぎると、脳が処理しきれなくなり、判断力が低下する。

②比較検討の負担
選択肢を比較検討する時間が増え、情報収集や分析に多くの労力が必要になる。

③完璧主義
あらゆる選択肢を検討しようとすると、完璧な選択をしたいという気持ちから、決断を先延ばしにしてしまう。

④後悔への不安
選んだ選択肢が最善でなかった場合の後悔を恐れるため、決断を避けてしまう。

例えば、退職金の運用を検討する際に、老後の大事なお金だからこそ、多種多様な情報を慎重に吟味して、比較検討を重ねて間違いのない選択をしたいと思いますよね。しかしその時点で「選択のパラドックスの罠」に落ちている可能性が大です。

そして、そんな多大なプロセスを経て選択した投資商品が(この時点でかなり脳が疲れている」、もし不意に起きたバッドニュースで購入後にすぐに大きく下落したなら、果たしてどんな気持ちになるでしょうか?

老後に備えて長期投資を始めたはずが、「今この瞬間の含み損」に目を奪われ、短期思考に変わってしまうのが普通ではないでしょうか。そうなると次に、まだ下がりそうだから一旦売っておこうとか、元本が回復したら売ってしまおうとか、株式トレーダーのような気持ちが芽生えます。まだ具体的な投資行動はとっていなくても、このように売買タイミングに気持ちが持っていかれた時点で、長期投資の一貫性は失われることになります。

長期投資を成功させる一貫性を保つためには、やはり経験値が高いファイナンシャルアドバイザーを資産運用のパートナーにつけることが有用ではないでしょうか?

なんか自分の職業のポジショントークと思われる話のオチではありますが…(笑)、個人投資家の心理を揺さぶりがちな近年の相場展開を見るにつけ、IFAの役割として「投資家心理サポートの大切さ」を改めて考えさせられる今日この頃です。

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