資産運用のコストについて思うこと

2024.01.22(MON)

2023年以降の物価上昇が意識される中、2024年1月から新NISA制度がスタートし、日本でも資産運用への関心が急速に高まっているように感じます。

詳細な数値の検証はしていませんが、新NISAを通じた投資は、米国S&P500やMSCIオールカントリー世界株式に連動するインデックスファンド、もしくは日本や米国の個別株式のように見受けられます。

これが何を意味するかというと、大半の投資家は「銘柄選択=投資先の価値評価」にコストをかけないという選択をしたということです。

これらの動きを見て、改めて「コスト」というものについて、今一度よく考え整理整頓しておきたいと思いました。

経済や金融の情報に触れる時、また生活や仕事をする中で、人は意識的もしくは無意識的に様々なコストとその便益(メリット)について考えています。

一般的に、私たちは働いて得た収入から強制的なコスト(=税金や社会保険料)を差し引かれた可処分所得のなかで、自由意志によるコストをコントロールしていかなければなりません。最初に考えるのは衣食住等で、生きるための基礎的かつ必要最低限のコストです。

日本では、今後も少子高齢化を伴う財政赤字の増大が予想され、私たちの強制コストが減ることはなさそうです。

生きるための基礎的コスト負担も増大しています。世界的な気候変動の影響やインフレに起因する食料品・エネルギー価格の上昇、世界の主要都市を中心に住宅価格も高騰しています。

現役時代に仕事を頑張り、家を買い、家族をつくり、貯蓄に励みながら、退職後は公的年金をベースに暮らすという過去の標準人生シナリオが崩壊していることは、すでに誰もが気づいているところです。

そんな状況下「インフレによる預貯金の実質価値減少」が意識され始め「資産運用=投資」のニーズが高まってきました。そこにタイミング良く「非課税・無期限」という特典が付いた新NISA制度がスタート。今まさに日本人の預金偏向の金融資産が変わろうとしており、それ自体は良い方向性であると思う一方、非課税はあくまで将来の利益(未実現)に対してであり、投資初心者が「非課税=やらなきゃ損」という感じになっている状況を見ると、投資に対するリスク認識がなさすぎて怖いとも感じます。

ところで冒頭の内容に戻りますが、新NISAという制度を利用する人は急増していますが、多くの人は「中身の運用についてはコストをかけない」という選択をしています。この状況・・・、個人的には仕方がないかなーと感じます。

老後2000万円問題に対する一つの答えが新NISA(投資枠上限1800万円)でしょうし、税や社会保険等の強制コストや衣食住などの基礎的コストの負担で余裕がない中で老後資金を作るとなると、資産運用にコストをかける余裕がない方の方が多いでしょう。

しかし本来、自分が大切にしているコトやモノには、可能な範囲内でしっかりコストをかけるのが普通の在り様だと思います。例えば自分自身の健康のためにスポーツジムにいくとか、ストレスを吹き飛ばし元気を出すために推し活をするとか、子供の未来のための教育費とか、その他にも大切なものにコストをかける事例は諸々あろうかと思います。

資産運用に回せる資金が新NISA枠以上ある方は、改めて「大切な資産」にコストをかけマネジメントする重要性を考えて頂きたいと思います。新NISA=インデックスファンドさえやっておけば大丈夫。専門家のアドバイスもいらない。とは思って欲しくありません。それは一般に認識されている以上にリスキーな選択肢だと思うからです。

投資で長期的に成果を出すには、6つのファクター(投資金額・投資収益率・投資年数・資産配分・銘柄選択・タイミング)について、自分自身の状況(内部分析)と金融経済の長期トレンド分析(外部分析)を複眼的かつ継続的に行っていくこと、また必ず訪れる短期的なマーケットの大きな下落等の各種リスクへの対応が必要不可欠です。資産運用業界33年の経験から「マーケットはそんなに甘くない」と自信を持って言えます。

バリューマネジメントは「有形無形のリスクを考慮した投資リターン」を、個々のファイナンシャルニーズやリスク許容度に合わせ提供していきたいと思っております。

そして改めて、このような世の中の風潮の中で、私たちの資産運用アドバイスの付加価値を評価して、適正なコストをお支払いくださる弊社のお客さまに感謝の気持ちでいっぱいです。

今後ともご期待にお応えできるよう、社員一同精進してまいります!!

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