弊社のお客様、お取引先等の関係者の皆様、
本年も誠にありがとうございました。
さて2019年は不況下の株高となり、
実体経済と金融市場のベクトルは逆に動きましたが、
この動きに多くの方が意外な感じを持ったのではないでしょうか?
特にビジネスの最前線で活躍されている皆様は、
ご自身の感じている実体経済と金融市場の温度差(ギャップ)から、
そのうち株式市場も下がるだろうと見ているうちに、
(巷の状況を見るに)投資タイミングを逸してしまった方も多いように感じます。
個人的には、このような展開においても、
「短期変動を受け入れ長期の成長を獲得する」という長期投資コンセプトが
実に有効に働いたことを、改めて実感した2019年となりました。
教訓:資産運用においては予測を当てるより原理原則に基づくことの方が重要である。
それと個人的に昨今大変気になっているのが、
「株式売買手数料や投資信託の販売手数料の無料化」の動きに拍車がかかってきていることです。
ネット証券を中心に、他社が手数料を下げたら自社も下げなければ競争優位を保てない
といったコスト競争の動きが急速に表面化してきました。
このことに関連して、2019年12月13日付日経新聞(夕刊)のコラムで、
なかなかいい事を言うなーという記事がありましたので、少しご紹介をさせて頂きます。
■コラム十字路「タダより高いものはない」。
(記事から一部抜粋および要約)
↓
手数料の無料化で懸念されるのは、証券各社のコストの回収方法だ。
低コスト経営のネット証券でも当然システム開発にお金はかかる。
よって外から見えない形で元を取る動きがでてもおかしくはない。
あるネット証券が株の売買執行の仕組みを変更したのを利用し、
高速取引(HFT)業者が個人の注文先回りして利益を狙う動きが表面化したばかりだ。
(以上)
この記事の要約を簡単に例えるなら、カジノの入場料はタダにしてお客さんを集め、
勝負において、お客さんをカモにするという仕組みといった感じでしょうか?
上記のコラムでは、株式売買手数料について言及していましたが、
投資信託においてもネット投資家の販売手数料無料化の動きが加速しております。
ちなみに運用期間中に継続的にかかる信託報酬は変わりませんし、
私たちのようなファイナンシャルアドバイザーが担当につく場合は、
販売手数料は今までと変わらず有料です。
また販売手数料の無料化の代わりに助言手数料を付加するケースもあります。
さて、この無料化については、投資家ファーストのような感じで称賛する報道が多く、
投資家にとっても大変良い事のように言われていますが、
果たして本当かどうかは疑問です。
このことが投資家の運用成績を向上させるかどうかは
「実はかなり怪しい」と私は思っております。
と言うより、むしろ悪くさせる危険性があることを指摘しておきたいです。
販売手数料の無料化は、安易な投資信託の売買につながる可能性があるからです。
売買をしても手数料がかからないので、
「とりあえず一度売って、また下がったら買おう」
そんな投資家心理に拍車をかけることになることは容易に予測ができます。
それが上手くいけばいいのですが、おそらく難しいでしょう。
「安く買って高く売る」
それを長期にわたってタイミング良く繰り返すことなど奇跡に近いことなのですから。
加えてこのことは運用会社の運用にとってもネガティブに出る可能性を秘めています。
運用中に資金の出入りが激しくなる可能性があり
目には見えない運用のロスになりかねないからです。
適正なコストを支払い、日本ではまだまだ数は少ないですが、
真の専門家と言えるファイナンシャルアドバイザーの助言を得ながら、
投資の原理原則に基づいて資産運用を行う方が
実際の成功確率が高くなると、個人的には確信しております。
金融商品の無手数料化の動きに代表されるコスト競争は金融業界だけでなく、
現在様々な業界で起こっている事象だとも言えます。
各業界で事業者はAIやデータを駆使してコスト競争を仕掛けていますが、
実際のお客様サイドの世界では「お金は払うから、いいサービスを受けて満足したい!」
そんな考えを持つ方は思った以上に多いです。
AIやロボットは生産性や顧客満足度向上におけるツールであり、
それを使うこと自体(もしくはそれを使って単なるコスト競争をすること)が、
目的化しては、世の中あらぬ方向に行ってしまいます。
「タダより高いものはない!」
改めて多くの投資家にお伝えしたい言葉です。
さて今年最後のブログとなりましたが、2020年以降も弊社と致しましては、
しっかりとお客様から頂く手数料以上の付加価値を生み出していくよう、
頑張ってまいる所存です。
それでは皆様「良いお年をお迎えください!」
そして「来年もよろしくお願い致します!!」
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