2025年9月の金融経済動向(中浜の視点)

2025.10.06(MON)

米国ではトランプ大統領がFRBや労働省への攻撃を先鋭化させています。自分の意図に沿わない者を徹底的に苛め抜く様は、まさに専制君主そのものですが、意外と今のところ大きな失点になっていないようにも見えます。

ただその結果、長年、世界の機関投資家の資産運用の軸となってきた資産クラス「米ドルと米国債」への信認が急速に低下し、大きな投資資金が「金・銀・プラチナなどの貴金属市場」に流入しています。

またFRBの利下げ再開を機に、AIや半導体関連の株価が再び急上昇。日本でも日経平均株価が新高値を更新、4月~9月の半年で9,315円高と半期で過去最大の上げ幅になりましたが、AI関連3銘柄(ソフトバンク・アドバンテスト・東京エレクトロン)で上昇寄与度56%と偏った展開になっています。

世界的にも各国株式指数は好調な値動きですが、中身を見るとバランスが悪く何か気持ちが悪い感じもします。トランプ関税の影響が大きい自動車・ヘルスケア・生活必需品等のセクターの株価は世界的に低迷していますし、国地域でいうとトランプ関税の影響を受け、AI関連の上場企業が少ない東南アジア株などは年初からマイナスゾーンで推移しています。

また上場大型テックの株価が絶好調である一方で、プライベートエクイティが投資する未公開株式市場では5年以上塩漬けになっている投資案件が4割にものぼり、投資回収に四苦八苦しています。「良いのか悪いのか?」よくわからない混沌としたマーケットですが、おそらく投資機会は豊富に存在している状況なのだと思います。

こんな時はあまりドタバタしないで、欲を出しすぎず、現在の「投資ポートフォリオのかたち」をしっかり堅持することが肝要かと・・・。

追伸 10/4高市早苗氏が自民党総裁に選ばれました。日本の経済・金融政策の方向性も大きく変わる可能性があります。週明けの金融市場は円安・株高で反応していますが、今後の動きに要注目です。

【2025年9月の注目ニュース】

9/2 日本の割安中小型株(時価総額1000億円未満)が上昇基調(PBR1倍割れ4割超)
9/3 NY金先物価格が最高値更新(1トロイオンス3578.4ドル)FRB独立性に疑念でドル信認低下
9/4 日米欧で財政悪化懸念、超長期債の利回りが上昇
9/4 トランプ米大統領はFRB112年の歴史上、初めて理事の解任に踏み出す
9/5 東南アジアの株式市場がトランプ関税やAI出遅れで冴えない(昨年末比6%安)
9/6 日本車(対米輸出)の関税15%に確定、一方で5500億ドル(80兆円)投資は米主導
9/6 8月米雇用者数は前月比+2.2万人(6月確定値は14,000人増から13,000人減に)
9/6 世界半導体、AI特需続く(主要11社の4-6月期の純利益は前年同期比6割増)
9/6 AI半導体ブロードコムの時価総額が200兆円に(ネクスト・エヌビディアか?)
9/9 石破首相の辞意表明を受け、日経平均は過去最高値に迫る勢い
9/10 フランスの政局が混乱(財政再建行き詰まりで内閣総辞職)
9/10 米雇用統計の年次改定推計で過去分を大幅下方修正(トランプ政権は労働省を批判)
9/12 世界のAI相場の勢いにのって、日経平均は44000円超え(過去最高値更新)
9/12 欧米金融機関が米国株の2025年年末見通しを相次いで引き上げ(相場後追い)
9/12 米国PEファンドの投資回収が滞っている(投資先の4割にあたる5000社が塩漬け)
9/12 8月の米CPIが前年同月比+2.9%と予想どおりに、NYダウは初の46000ドル台に上昇
9/13 米国の利下げ再開を見据え、AI関連株の上昇の勢いが増している
9/17 欧州の銀行株が年初から大幅高に(欧州の景気見通しや利ザヤの改善)
9/17 今年7月に米国で一時的なゴールドラッシュが起きていた(相互関税の適用を見込み)
9/18 FRBは17日のFOMCで政策金利を0.25%引き下げ(年4~4.25%)
9/18 日銀の資金循環統計(2025年6月末)家計の金融資産残高が2239兆円と過去最高に
9/19 日経平均は初の45000円台に(世界的な株高に追随)
9/20 日銀は19日の決定会合で、2026年からETFとREITを売却すると決定(量的緩和の出口へ)
9/20 市場は日銀の年内の追加利上げを有力視(10月会合の利上げ確率56%)
9/20 米政権がUSスチールのイリノイ州高炉の停止を阻止(黄金株で日本製鉄の経営に介入)
9/23 ソニーグループは金融子会社のソニーFGを29日にスピンオフ上場させる
9/24 OECDは2025年の世界GDP成長を0.3ポイント上方修正して+3.2%に(米AI投資が牽引)
9/25 高齢者医療、現役負担重く賃上げ効果薄れる(健保組合の半数が赤字、1/4が解散水準)
9/27 中国でアリババの創業者ジャック・マー氏が復権か?(中国AI・半導体への傾斜が背景に)
9/27 東証グロース市場、今年の上半期の上場は9社(7割減)上場ゴール回避へ改革
9/30 米政府機関の閉鎖、土壇場の攻防(予算案を巡り与野党対立)10/3の雇用統計延期も

【世界投資地図(過去3カ月および年初来騰落率)】

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