最近の日本株式市場で元気があるのがエンターテインメント銘柄です。代表的な企業としては、ゲームやアニメやキャラクターを手掛ける「任天堂、ソニーG、コナミG、バンダイHD、サンリオ」などが挙げられます。
2025年7月1日付の日経新聞記事によると、東証のエンタメ関連9社の時価総額は今年に入って3割増加し57兆円に達し、トヨタを筆頭とする自動車主要9社合計の時価総額合計を逆転したようです。
この事象は、足元の日本経済の変容とこれからの日本株式市場の中長期トレンドを示唆しているように見えます。
個人的には2000年頃から日本経済の今後の飛躍の鍵は、日本らしい文化やコンテンツの海外展開にあると考えていましたが、25年後の現在、そのトレンドが明確なかたちになってきている気がします。
さて先日、私にしては珍しく流行に乗りフットワーク軽く、映画「鬼滅の刃(無限城編)」を上映2日目に鑑賞してきました。大正時代の日本の歴史・文化を背景にした物語を、最新の映像技術を駆使して表現した当作品は、関連ビジネスも含め記録的な売上になることが確実です。
鬼滅の刃はコンテンツの配信方法も含め、ビジネス的な側面からも経済記事等で多く取り上げられています。中には大変興味深い分析記事もありますが、やはり成功のベースにあるのは、原作者(吾峠 呼世晴さん)の想いだと思います。作中で鬼を退治する鬼殺隊のトップ(産屋敷耀哉)が、鬼のトップ(鬼舞辻󠄀無惨)に語りかける言葉が、作者の想いを代弁しているように私は感じました。
(産屋敷が永遠の存在になりたがる鬼舞辻に語りかけるシーン)
「永遠というのは人の想いだ。人の想いこそが永遠であり不滅なんだよ」
「私を殺したところで、鬼殺隊は痛くも痒くもない。私自身はそれほど重要ではないんだ。」
「君には理解できないだろう。なぜなら君たちは、君が死ねば全ての鬼が滅ぶんだろう?」
個人的には、この言葉が作者の一番の想いではないかと思っています。
「作者の想い」に共感した仕事仲間、漫画の読者、アニメファンから映画ファンへ、そして関連コンテンツへの繋がり、大ヒットの根底にはこのような「人の想い」の強い連鎖があります。
おそらくは会社経営も同じだと思います。圧倒的なカリスマ社長がいなくなったら潰れてしまう会社は、鬼滅の刃的には「鬼サイドの組織形態」と言えるでしょう。
圧倒的な実力の社長がいなくなっても、持続的な成長を継続できる組織には、「会社の社会的存在意義」を心から大切にする「役職員の想い」が着実に根付いています。
綺麗ごとを言っているように感じる方もいらっしゃるかと思いますが、高齢化かつ人口減少時代の日本を支える経済モデルは確実に変わってきてます。利益をあげる仕組みが「大量生産・大量消費を前提とした経済モデル」から「最初に個人の想いがあり、それが連鎖する経済モデル」へ変容しているのだと思います。
この変容をしっかり捉えることが、今後の日本株投資の重要なファクターになるだろうと、「鬼滅の刃(無限城編)」鑑賞後に思った次第です。
そんなこと考えずに、もっと普通に楽しく映画見ろよ!!と言われそうですが・・・(笑)。