2025年10月の金融経済動向(中浜の視点)

2025.11.09(SUN)

2025年10月、世界の株式市場はAI関連を中心に活況を呈しました。逆にAIに関連性が薄い国地域及び業種に属する企業の株価は低迷が続いています。

債券市場はトランプ関税の影響で物価が上がると思われた米国が、足元でそこまでインフレになっていないこともあり、概ね落ち着きを取り戻しています。為替市場では日本で高市政権が誕生したことで、「金融緩和+財政拡張」が意識され円安が進捗しました。

全体的に金融マーケットは晴天が続いているように見えますが、少しづつ歪みや綻びが出始めているようにも見えます。トランプ関税で苦境に陥っている米国の自動車部品業界への融資の焦げ付き。それを受けた米国地銀や生命保険会社の財務状況への懸念。

今年に入って価格が急騰した、金、仮想通貨、ミーム株(個人投資家に人気の流行株)等が、一時的に急落する局面も出てきました。日経平均株価も直近の上昇幅6,000円について、その上昇寄与度76%が3銘柄だけで説明できるような歪な指数と化しています。

今、まさに一部の人気資産にマネーが殺到し、バブルとなっていると可能性が大です。個人的に、そのバブルはいずれ確実にはじけると考えます。一方で、幸いにも多くの投資可能資産が割安に放置されている状況が併存しているので、現在バブル資産を避けながら、地に足がついた投資ポートフォリオを構築することも可能です。

そうすれば一時的な下落をしっかり乗り越えられることができるでしょうし、逆に今まで買われていなかった投資資産にマネーが回帰してポートフォリオの価値が上昇する可能性も期待できます。

今後どのような相場展開になるにせよ、今はなかなか興味深い時期だと感じています。

【2025年10月の注目ニュース】

10/2 円預金に近い公社債投信MMFが日本で約9年ぶりに復活(金利上昇を受け国債を軸に)
10/2 世界株の時価総額増加率ランキング(7-9月)で中国AI株が上位20社の半数を占める
10/3 2025年1-9月、米国の政府機関や企業の新規採用数が6割減(リーマンショック以来の水準)
10/4 米国の関税収入が急増、8月末時点で約24兆円(2024年10月末開始の会計年度)
10/5 4日、自民党総裁選で高市早苗氏が勝利(初の女性総裁、小泉氏を破る)
10/7 6日の日経平均は1日で4.8%高、高市総裁の誕生で「日本の変化」に期待
10/8 金4000ドル突破(半年で3割高)、世界の中央銀行の保有額は米国債超え
10/9 新興国通貨メキシコペソが対ドル上昇率トップ10.1%、タイバーツやブラジルレアルも約6%上昇
10/10 2025年前半に好調だった欧州株が、6月以降はAI相場に乗れず軟調
10/11 トランプ米大統領が中国に100%の追加関税を表明(中国のレアアース規制に対抗)
10/15 IMFは2025年世界GDP成長予測を0.2%上方修正(+3.2%)AIブーム崩壊をリスクに挙げる
10/16 米S&P500の7-9月のEPSは前年同期比+8%予想と堅調(ITが+21%と突出)
10/18 オープンAIの約200兆円のインフラ投資で、いびつな資金循環が指摘されている
10/19 過去10年で日経平均株価は約2倍になったが、その間の賃金の伸びは2割弱(r>g)
10/21 ビッドコインやステーブルコインからマネーが流出(構造的な脆さが露呈)
10/22 21日、高市内閣が発足(自維連立政権が始動)女性初の首相が誕生
10/22 金融庁は5年ぶりの企業統治指針改定(2026年)で、上場企業の現預金100兆円にメス
10/23 金価格が急落、1日で5.7%安(ETF経由で資金が流入して価格が不安定に)
10/23 チョコレートが価格高騰で需要減少、カカオ豆の相場が年初から5割下落
10/25 米国で自動車関連企業の経営破綻が続き、米生保が保有するプライベートクレジットに懸念
10/25 米国9月CPIは前年同月比+3%、利下げ期待から米株3指数は最高値を更新
10/27 中国レアアース規制を延期、米国も100%追加関税を見送り
10/27 米中対立緩和から日経平均は初の5万円台まで上昇
10/28 アマゾン、3万人削減(AIによる効率化で管理部門1割を)
10/30 日米AI相場、強まる共振(日経平均は5万1000円台に、直近6000円上昇の76%は3銘柄による)
10/30 AI株人気、テーマから外れた高収益銘柄には買い入らず(勝ち馬に乗る心理バンドワゴン効果)
10/30 29日米FRBが0.25%の利下げを決定(年3.75%~4%)「12月の利下げは既定ではない」
10/31 日立製作所の2026年3月期の純利益は前期比+22%(電力インフラやデータセンター関連増)
10/31 日産自動車の2026年3月期の営業赤字が2750億円に(関税の影響で半導体不足)

【世界投資地図(過去3カ月および年初来騰落率)】

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