2026年2月の金融経済動向(中浜の視点)

2026.03.06(FRI)

2月の世界株式市場は、アッソロピックの新AI発表を機に「SaaSの死」の現実化リスクが高まり、ソフトウェア株式の急落から始まりました。一方でデータセンター建設でメリットがあるキャタピラーなどの製造業の株価が上昇し、NYダウは初の5万ドル台まで上昇。世界的にも製造業の株価が堅調でした。

日本では2/8衆議院選挙の自民党圧勝の結果を受け、円高、債券高、株高のトリプル高となりました。

中国が米国債の保有を抑制するというニュースがあり、米ドル、米国債への信認が低下した一方で、日本は政治の安定が期待され、世界の投資家からポジティブな評価を受けているように見えます。

米国ではAIが様々な産業や雇用を破壊する恐怖が蔓延していますが、2月に発表された1月の雇用統計は思った以上に堅調な結果が出てきました。加えて足元の企業業績も堅調です。2月の世界株式市場は、これらの数少ない好材料と、AIによるディスラプション、プライベートクレジットファンドからの資金流出、新たなトランプ関税への懸念、イラクへの攻撃など地政学リスク等、数多い悪材料との綱引き状態だったといえるでしょう。

ただその均衡は若干崩れつつあります。2月に発表されたエヌビディア決算が、それを象徴しています。市場予想を上回る過去最高益の好決算にも関わらず、株価が急落しました。投資家のリスクオフの姿勢が鮮明になったニュースだったように思います。

日本では日銀の新理事選出(積極財政派が2人指名)がサプライズとなり株高に。明らかに米国株とは異なる動きを示しました。戦略的な分散投資がより重要になりつつあります。

月末の28日(土)には米国とイスラエルによるイラン攻撃があり、地政学リスクがどこまで高まるか読めません。米国の長期金利が急低下すると同時に、金価格の上昇が頭打ち傾向にあるなど、リスクオフへ備えた資産配分のあり方にも変化が出てきていることに要注目です。

【2026年2月の注目ニュース】

2/1 次期FRB議長のケビン・ウォーシュ氏の評価高く、FOMCのかじ取りが手堅くなるか?
2/3 ウォーレン・バフェット氏が資本市場の資本分配機能を投機取引が壊すリスクを警鐘
2/4 アンソロピックの新AI(法務や財務の作業を自動化)に端を発し「SaaSの死」の警戒再び
2/4 米MSCIがインドネシア株式市場の信頼性に懸念を示し、株価急落
2/6 ビットコインがピークの半値にまで下落(トランプ効果を帳消しに)
2/6 アルファベットがAI開発等に最大1850億ドル(約29兆円)投資すると発表(前年比2倍)
2/7 NY株、初の5万ドル台(テクノロジー株から製造業へ投資対象拡大)
2/9 第51回衆議院選挙は高市自民が316議席を獲得し、単独で定数の2/3を上回る
2/10 9日の日経平均株価は2110円高の56,363円(政権安定で円相場も上昇)
2/10 9日のNY外国為替市場で円が155円台に上昇、中国が米国債保有の抑制指示
2/12 11日の1月米雇用統計は13万人増(市場予想5~7万人増を上回る)
2/12 ビットコインETFから8億ドル流出(投資家の恐怖感情高まる)
2/13 米ウォルマートの時価総額が1兆ドルを超えた(AI活用で成長期待)
2/13 グーグルが発表したジェミニ3から「SaaSの死」懸念高まり、NYダウは669ドル安
2/16 日本の10-12月期GDP速報値は年率+0.2%増(予想+1.7%増)輸出伸び悩む
2/17 米S&P500の10-12月期のEPSは前年同期比+13%(予想+8%)非テックがAI活用で好調
2/18 世界のIPOが急回復、2025年の資金流入額は前年比42%増(AIや金融で大型案件)
2/18 日本の上場企業のMBOが昨年は前年比7割増の30件と過去最高(上場維持の負担重く)
2/19 18日、第二次高市内閣が発足、強い経済へ大胆な投資を表明
2/19 生成AIの破壊的変化が日本のエンタメ関連企業の株価を直撃
2/20 日本の上場企業2026年3月期は2%減益予想から1%増益へ(5年連続最高益更新)
2/20 米ソフトウェア株のPERがS&P500を下回る水準へ(好業績も売り優勢続く)
2/20 米輸送株(物流・空運)平均が年初から+14%(横這いのS&P500を大きく上回る)
2/21 米投資ファンドのブルーアウルがプライベートクレジットファンドの解約停止
2/21 米連邦最高裁はトランプ相互関税を違憲と判決、トランプ大統領は代替10%関税発動へ
2/24 23日NYダウは821ドル安の48,804ドル(AI・関税不安で金や米国債に資金逃避)
2/26 政府は日銀審議委員に積極財政派の2人を起用「日経平均は58000円台に上昇」
2/27 エヌビディアが市場予想を上回る好決算にも関わらず5%安(AI不安で株価伸び悩み)
2/28 米決済大手ブロックは1万人の従業員の4割を削減(AIで効率化できるとの経営判断)
2/28 英国の住宅金融会社MFSの倒産をきっかけにNY市場で金融株が急落(債権の質に懸念)

【世界投資地図(年初来騰落率)】

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