2017年7月(前月)の金融経済レビューをいたします。
直近1カ月分の「社会・経済のニュース」と「金融市場の動き」を、まとめて関連付けて観ることは、「金融リテラシーの向上に役立つ」と同時に「長期投資に付随する変動(ボラティリティ)の要因を理解すること」につながります。
変動の要因を理解することこそが、マーケット下落時もしっかり投資に向き合うことができる秘訣だと、私は思います。
今月のポイントは、「米ドル安の世界金融経済に対する影響」、「2つの中国(古い中国と新しい中国)」、「米パリ協定脱退後の世界各国の行動」、「世界株式市場の堅調さと一方で台頭する頭打ち感」といったところでしょうか。
それでは下記情報をご確認頂き、「自分としてどう捉えて、そう考えるか? 」
是非お試しください!
■2017年7月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済)
2日、東京都議会選で「都民ファーストの会」が第一党になる。自民党惨敗。
3日、6月の日銀短観で「景況感3期連続改善」。輸出・消費が回復。
3日、米国の6月製造業景況感指数は57.8(2年10ヵ月ぶりの高水準)。
4日、米国自動車販売が2017年1-6月期に前年同期比で2.1%減少(8年ぶり)。
5日、インドのデジタル経済規模は今後3.4年で1兆ドルに倍増(IT大臣発言)。
5日、イタリア政府は、不良債権の最大案件だった大手銀行の国有化を決定。
6日、日本とEUは経済連携協定(EPA)の締結で合意。2019年発効へ。
6日、日本の10年国債が0.1%に上昇(欧米の長期金利上昇の影響を受け)。
7日、米国6月雇用者数は前月比22万2000人増(予測17万人)。米雇用堅調。
7日、日本の公的年金(GPIF)の2016年度運用成績が公表される。「+5.86%」。
8日、仏が2040年までにガソリン車・ディーゼル車の国内販売を禁止と発表。
10日、日本の生命保険各社は、死亡率低下に伴い来春から死亡保険料を下げる。
10日、金利差拡大を受け、円ドルレートが円安に(2ヵ月ぶりに114円台)。
10日、イラク首相が「イスラム国」に勝利宣言。モスル奪還。
11日、中国新車販売が急減速。2017年上半期は3.8%増(2016年+13.7%)。
13日、中国スマホ販売が急減速。2017年上半期3.9%減(3年ぶりに減少)。
13日、FRBイエレン議長が年内にFRB保有資産も縮小を開始すると表明。
13日、ビットコイン(仮想通貨)市場が大荒れ、取引所の分裂騒動や価格急落。
19日、中国4-6月期GDPは+6.9%と予想を上回る(ネット通販が+33%)。
19日、業種別指数「化学株」が過去最高値。旭化成、クラレが上場来高値更新。
20日、日銀物価2%目標を先送り(17年+1.1%、18年+1.5%、19年+1.8%)。
20日、米主要500社の4-6月期は8.5%増益(予想EPS140ドルと過去最高へ)
24日、IMF世界経済見通し2017年+3.5%(米国下方修正、欧州上方修正)。
24日、エジプトでインフレ率が30%に達し、経済が苦境に陥る。
25日、英国も仏同様2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売禁止。
26日、電子部品6社受注が4-6月期15%増と拡大。スマホ高性能化、ゲーム機等。
27日、米ドル指数が1年ぶりの安値。物価上昇の鈍さとトランプ政権への不信。
28日、オバマケア見直しが否決。大型減税、インフラ投資の政権公約も暗礁へ。
■2017年7月の金融市場の動き
【7月末の長期金利】
前半各国で金利上昇も後半低下し、結果変わらず。
日本10年国債 0.08% 前月比変わらず 年初来 +0.035%
米国10年国債 2.30% 前月比変わらず 年初来 -0.14%
ドイツ10年国債 0.54% 前月比+0.11% 年初来 +0.35%
英国10年国債 1.23% 前月比-0.02% 年初来 -0.01%
【7月末の先進国株式】
先月下落のナスダック指数が「IT大手の好決算」で反発。
日本(TOPIX) 1618.61 前月比+0.4% 年初来+6.6%
米国(S&P500) 2470.30 前月比+1.9% 年初来+10.3%
(ナスダック) 6348.12. 前月比+3.4% 年初来+17.9%
ドイツ(DAX) 12118.25 前月比-1.7% 年初来+5.5%
英国(FTSE100) 7372.00 前月比+0.8% 年初来+3.2%
【7月末の新興国株式】
新興国経済と市場にリスクオンの傾向(米ドル安の裏返し)。
中国(上海総合) 3273.03 前月比+2.5% 年初来+5.5%
インド(SENSEX) 32514.94 前月比+5.2% 年初来+22.1%
ブラジル(ボベスパ)65920.36 前月比+4.8% 年初来+9.5%
ロシア(RTS) 1007.14 前月比+0.6% 年初来-12.6%
【7月末の商品市況】
原油価格が大幅反発。金も年初来で1割上昇(米ドルとの相関)。
WTI原油先物(1バレル)50.17ドル 前月比+9.0% 年初来-6.6%
NY金先物(1オンス) 1266.6ドル 前月比+2.1% 年初来+10.1%
【7月末の為替市場】
(+は円安 -は円高)米ドル安、ユーロ高が進展。
米ドル/円 110.24円 前月比-2.0% 年初来-5.7%
ユーロ/円 130.57円 前月比+1.7% 年初来+6.1%
英ポンド/円 145.78円 前月比-0.5% 年初来+1.2%
豪ドル/円 88.23円 前月比+2.1% 年初来+4.6%
以上。