2017年9月(前月)の金融経済レビューをいたします。
直近1カ月分の「社会・経済のニュース」と「金融市場の動き」を関連付けて観ることは、「金融リテラシーの向上に役立つ」と同時に、「長期投資に付随する変動(ボラティリティ)の要因を理解すること」につながります。それがマーケット下落時もしっかり投資に向き合うことができる秘訣だと私は思います。
先月前半は北朝鮮問題や米国のハリケーンの影響からリスクオフの円高が進捗。一時107円台まで突入し株式市場も低調に推移しましたが、後半に米国FRBが量的緩和の縮小、またトランプ大統領と共和党が30年ぶりの大型減税策を発表したことで、円安ドル高に、また株式市場も先進国を中心に上昇しました。
個人的には、英国のダイソンが電気自動車に参入することに大きなインパクトを受けました。フランス、英国、中国がガソリン車の廃止を決定した中、今まさに世界は産業構造の大きな変曲点にいるのだなあーという実感があります。国際情勢や政治が不安な状況下、世界的に企業業績は堅調です。その背景には単なる景気循環ではなく、経済の仕組み・モデル・ルール等が大きく変わる中で、さらなる成長の芽があちらこちらに生まれてきている事実がある気がします。私たちはその成長の芽を、優良ファンドと通じて皆さんのポートフォリオの中にしっかり届けていかなければならないと思っております。
さて、それでは下記情報をご確認頂き、自分としてどう捉えて、どう考えるか?
「今月も是非お試しください!」
■2017年9月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済)
1日、ユーロ圏の8月消費者物価指数(コア指数)は前年同月比+1.2%。
1日、米国物価は5カ月連続鈍化。7月は前年比+1.4%、目標+2%を下回る。
1日、8月の米雇用統計15.6万人増(市場予測18万人を下回る)。
3日、世界の上場企業の税負担率が10年前の27.8%から24.6%に低下。
3日、アジア各国の政府・中央銀行の外貨準備高(7月末)が過去最高水準。
3日、北朝鮮がICBM用水爆実験を断行。爆発規模は過去最大。
6日、米大統領は不法移民在留許可制度を撤廃。経済損失は4063億㌦と試算。
6日、米債務上限上げについて合意(12月まで)。債務不履行ひとまず回避。
7日、ECB(欧州中銀)は、来年からの金融緩和縮小を10月に決める考えを発表。
8日、円高加速107円台に突入。米ハリケーン「イルマ」北朝鮮情勢でドル売り。
11日、財務省は、日本郵政株式の月内追加売却を発表。株価は公開後低迷。
11日、国連安保理は北朝鮮への追加制裁を採択。
12日、中国がガソリン車禁止に関して、具体的な導入時期の検討に入った。
12日、米アップル社は、アイフォーンの新機種Xを発表。
13日、7-9月の大企業景況感指数は2期ぶりにプラスに転じる。景気堅調。
19日、日経平均2年ぶりに高値更新。衆議院解散、米国緩和縮小を材料に円安。
19日、三菱UFJは国内の事務作業の自動化で9500人分の労働量削減と発表。
19日、米トイザラスは破産申請。アマゾンにシェアを奪われる。
20日、任天堂9年ぶりに時価総額6兆円を回復。業績不振から回復。
20日、米FRBが「量的緩和の縮小」を10月から開始すると発表。
21日、日銀は金融決定会合で「金融緩和の維持」を決定。
21日、外国為替市場で英国ポンドが利上げ観測で1年3ヶ月ぶりの高値水準へ。
24日、独総選挙でメルケル与党勝利(メルケル首相4選)するも、議席大幅減。
25日、安倍総理が28日に衆議院解散を表明、10月22日投票日。
26日、英家電大手ダイソンが2020年までに電気自動車に参入すると発表。
27日、米大統領と共和党は30年ぶりの大型減税案を発表、今後議会で審議。
28日、東芝は、日米韓連合と半導体部門(東芝メモリ)の売却契約を締結。
30日、日本製造業の雇用者数が7年ぶりに1000万人超に(国内回帰)。
30日、中国のPMI(製造業景気指数)が5年5ヶ月ぶりの高水準に。
■2017年9月の金融市場の動き
【9月末の長期金利】
欧米の金融緩和縮小、英国はインフレから利上げ予想で長期金利は上昇。
日本10年国債 0.06% 前月比+0.05% 年初来 +0.02%
米国10年国債 2.33% 前月比+0.22% 年初来 -0.11%
ドイツ10年国債 0.47% 前月比+0.10% 年初来 +0.28%
英国10年国債 1.35% 前月比+0.32% 年初来 +0.11%
【9月末の先進国株式】
日欧企業業績が堅調で株価上昇、年初来水準で米国をキャッチアップする状況。
日本(TOPIX) 1674.75 前月比+3.5% 年初来+10.3%
米国(S&P500) 2519.36 前月比+1.9% 年初来+12.5%
(ナスダック) 6428.66 前月比+1.0% 年初来+20.7%
ドイツ(DAX) 12828.86 前月比+6.4% 年初来+11.7%
英国(FTSE100) 7372.76 前月比ー0.8% 年初来+3.2%
【9月末の新興国株式】
米国の量的緩和縮小を警戒して新興国市場の上昇は全般的に一服。ブラジルはインフレは利下げ期待から大幅続伸。
中国(上海総合) 3348.94 前月比ー0.4% 年初来+7.9%
インド(SENSEX) 31283.94 前月比-1.4% 年初来+17.5%
ブラジル(ボベスパ) 74293.51 前月比+4.9% 年初来+23.4%
ロシア(RTS) 1136.75 前月比+3.7% 年初来-1.4%
【9月末の商品市況】
金はリスクオフ懸念の後退で下落、原油価格は相変わらず変動が大きいが、45ドル~55ドルのレンジを行ったり来たりしている状況、強弱材料が綱引き。
WTI原油先物(1バレル)51.67ドル 前月比+9.4% 年初来-3.8%
NY金先物(1オンス) 1281.5ドル 前月比ー2.6% 年初来+11.4%
【9月末の為替市場】(+は円安 -は円高)
金融政策の違いから円安進捗。特に英国ポンドが大きく上昇。
米ドル/円 112.51円 前月比+2.3% 年初来-3.7%
ユーロ/円 132.99円 前月比+1.5% 年初来+8.1%
英ポンド/円 150.76円 前月比+6.0% 年初来+4.6%
豪ドル/円 88.24円 前月比+1.0% 年初来+4.6%
以上。