2024年1月の金融経済動向(中浜の視点)

2024.02.05(MON)

2024年の金融市場予測について、米大手運用会社2社(ブラックロック/ティーロープライス)の社長の日経インタビュー記事を読み、概ね自分の見方と同じだと感じました。

ポイントは2点です。2024年は地政学リスクに加え、各国の金融経済の好不調の格差もあり、お金の流れが大きく変わるグレート・リバランスの年になること。また昨年の欧米の中央銀行の金融引き締めが時間差で経済に影響を与え、個々の企業の真の実力が問われる年になること。おそらく昨年以上に「資産配分や銘柄選択の巧拙」が厳しく問われる年になるかと思います。

そんな中、年初の世界株式市場の上昇を牽引したのは日本株でした。世界の投資家がグレートリバランスの一環として「アジア経済のエクスポージャー」をとる市場を中国から日本にシフトさせています。実体経済でも日本のアニメコンテンツやコンビニの海外展開の動きが注目されています。

社会・経済・金融の様々な側面で不確実性が高まる中で、新たな投資機会の息吹も感じる2024年のスタートとなりました。一方で米国S&P500は一部のテック企業のエクスポージャーが高まり、期待リターンと同時に潜在リスクも大きく増しています。資産運用のリスク管理について改めて考える時期だとも思います。

【用語解説:エクスポージャー(Exposure)】
エクスポージャーは、原義(英語)では、さらすことやさらされることをいいます。これは、金融関連では、リスクにさらされている割合(度合い)や総額(総量)などを意味します。S&P500指数の上位10社の時価総額割合が30%になり、S&P500指数に占める10社のエクスポージャーも必然的に大きくなっています。


【日経インタビュー記事】

ブラックロック CEO
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK26A290W3A221C2000000/

ティーロウプライス CEO
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10E460Q4A110C2000000/

■2024年1月の注目ニュースと金融市場の動き

1/31日午後4時10分、石川・能登で震度7を観測する地震が発生
1/4米FRBは昨年12月のFOMC議事録を公開、追加利上げの可能性を排除せず
1/5世界半導体需要はAIやEVが牽引し今年4-6月に好転
1/5米ブラックロック社長:2024年はグレート・リバランスの年(地政学リスク・金利動向・技術革新を考慮)
1/5米ティーロープライスCEO:金融政策はタイムラグを伴い経済に効いてくる(荒波をくぐり抜ける企業)
1/6日本の漫画アニメの海外展開が本格化(ドラゴンボールの完全新作は米国で)
1/6コンビニ大手2社(セブン・ローソン)は今後3年間にアジアオセアニア地域に1万店以上の出店を計画
1/6米雇用12月21.6万人(予想17万人)、一方で米12月ISM非製造業景況感指数は2.1ポイント低下
1/109日、日経平均株価は33年ぶりの高値更新(33,763円)
1/1211日、日経平均株価は35000円台まで上昇(中国株売りの受け皿にもなり急騰)
1/13米12月消費者物価指数は前年同月比+3.4%(コア指数は+3.9%)物価は概ね鈍化傾向
1/14世界の製薬・創薬分野でAIの活用が拡大
1/15日本の確定拠出年金で投資信託の比率が初めて5割を超えた
1/16コラム(新NISAあなたの選択は):S&P500は米国の一流ハイテク企業に期待する商品?
1/18中国で日本株人気過熱(日経平均連動ETFに買い注文が殺到し一時売買停止に)
1/18外国為替市場で円の独歩安が進む(日銀の政策修正観測が後退し2週間で対ドル4.6%下落)
1/19半導体世界大手のTSMCが今期は2割増収で過去最高益見通しを発表(AI向けの需要増)
1/20米国企業の10-12月決算のEPS増益予想(QUICK・ファクトセット)は+1.6%(前期+4.9%)
1/2019日米S&P500が2年ぶりに最高値更新(TSMCのニュースを受けハイテク株に楽観論)
1/22香港市場に上場する中国株は本土市場の5割安で取引(一部のヘッジファンドは既に買い?)
1/22今後、世界GDPにおけるグローバルサウスのシェアは拡大傾向(米中やG7の存在感は低下していく?)
1/23日経平均が36000円台(時価総額10兆円超の企業は15社、大型株集中度は16年ぶりの水準)
1/24日米欧23ヵ国で構成されるMSCI先進国株式指数が2年ぶりの高値更新(日米牽引)
1/26中国株のPBRは平均1.7倍(5年ぶりの低水準)不動産不況・景気低迷で金融機関の資産劣化
1/26米SECはSPAC(特別買収目的会社)の規制強化を決定。
1/26米10-12月期GDPは+3.3%と堅調(個人消費が底堅く市場予想+2%を上回る)
1/27米アップルは欧州でiPhone向け外部アプリストアの配信を容認(手数料も30%から10%~17%に減額)
1/27日本株式市場で中小型株の割安感が出始め、個別有望銘柄の物色が強まりつつある
1/28米IT業界の大量解雇が続く(コロナ下の大量採用人員を削減し成長分野にリソースを集中)
1/31IMFが2024年世界GDPは+3.1%予測:前回10月から0.2%上方修正、物価と供給網の改善)


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