2024年6月の金融経済動向(中浜の視点)

2024.07.08(MON)

早いもので今年も半分が経過しました。上半期を振り返ると日本では元旦から能登半島地震が発生、翌2日には日航機が能登地震の救援に向かう海上保安庁の航空機と衝突し、大きな悲しみと不安に包まれた年明けとなりました。

世界的には80以上の国地域で国政レベルの選挙がある「選挙イヤー」ですが、米国を筆頭に世界中で自国主義的な政党が勢いを増しています。ポピュリズムを背景とした「政治リスクと財政リスク」の影響はまだ金融市場で顕在化しているとは言えません。

それら2つのリスクを覆い隠して堅調なマーケットを支えているのが、景気のソフトランディング期待が高まる米国経済と、その中でAI革命を主導するマクニフィセント7(特にエヌビディア)の堅調な企業業績です。これらの要因から堅調さを維持する世界金融市場と今年から始まった新NISAも一つの要因と言われる円安トレンドが、日本人の国際分散投資の高パフォーマンスを支えています。

「しかし今後についてはどうでしょう?」「2024年下半期も堅調さは継続するのでしょうか?」個人的な全体感としては、各金融市場で「上半期の反動がいつ起きてもおかしくないというところに近づいている」と認識しています。それと同時に一部の業種・企業が突出して株式市場を牽引している投資環境下において「今も割安に放置されている投資機会が豊富に存在している」とも感じています。

今後も7月の日銀金融決定会合での利上げの有無や11月の米大統領選挙など、マーケットの変動性を高めるイベントに事欠きませんが、バリューマネジメントのIFAは長期投資の本質を見失うことなく、皆さまの資産運用をしっかりサポートしてまいりたいと、下半期を迎えるにあたって決意を新たにしております。

【2024年6月の注目ニュース】

6/1 DMMビッドコインで482億円分のビッドコインが不正流出
6/1 トランプ前米大統領が不倫口止め料の不正処理で有罪評決
6/3 米国の財政悪化や敵対する国の米国債保有減少によって、米金利「高止まり」が新常態に
6/4 日本の大企業の労働分配率(2023年度)が過去最低の38.1%まで低下
6/5 インド総選挙で与党勝利もモディ氏の求心力低下、メキシコでは左派新政権が誕生
6/6 日本の出生率(2023年)が1.20となり過去最低を更新(東京では0.99と1割れ)
6/6 5日、カナダ中銀が4年3カ月ぶりに利下げ(0.25%)を実施(翌日物金利5%→4.75%)
6/7 5日、S&P500 指数が過去最高値を更新
6/7 欧州中銀が4年9カ月ぶりに利下げ(0.25%)を実施(政策金利4.5%→4.25%)
6/8 米5月雇用数は前月比+27.2万人(事前予想+18万~19万人)米国経済の底堅さを反映
6/10 欧州議会選挙で極右や右派の勢力が拡大、マクロン仏大統領は仏国民議会(下院)を解散
6/12 世界のPEの投資回収の遅延が、年金基金や大学基金のオルタナティブ分野の新規投資に影響
6/13 12日、米FRBは7会合連続の据え置き(FFレート5.25%~5.5%)年内利下げ予想も3回から1回へ
6/13 英ヘッジファンド、キャプラ創業者の浅井氏「米利下げなければ1ドル200円台もありうる」とコメント
6/13 米国では今後3年で、年間約410万人のベビーブーマー世代が65歳に到達(3割弱は貯蓄ゼロ)
6/15 三菱UFJFG傘下の銀行と証券2社が、顧客情報の無断共有で行政処分を受ける
6/15 日銀金融政策決定会合は現状維持、次回会合(7/30-31)で長期国債の買入減額予定
6/17 米国ラストベルト4州(ペンシルベニア州、ミシガン州、ウイスコンシン州、オハイオ州)でトランプ支持拡大
6/18 新NISAを通じて家計の円売りが加速(対外証券投資は1-5月の累計で5.6兆円に)
6/19 農林中央金庫が外債10兆円売却へ(損失確定し運用戦略を転換:今期赤字1.5兆円に)
6/19 新興国通貨に売りが拡大(選挙結果を受けメキシコペソやインドルピーが最安値圏で推移)
6/19 米半導体大手エヌビディアの時価総額が3兆3350億ドル(約526兆円)になり世界首位
6/24 欧州の不動産市場は3重苦(金利高止まり・賃料減少・建設コスト増加)で苦境に
6/25 今年は80超の国・地域の国政選挙がある選挙イヤー、市場では政治リスク・財政リスクに警戒感
6/26 厚労省は7/3公表の「5年に1度の財政検証」で、厚生年金の適用拡大に言及する予定
6/26 2024年1-3月の訪日客消費は年率換算で約7.2兆円、GDP影響度が自動車輸出に次ぐ規模に
6/27 前日NY市場で円ドルレートは160円80銭と37年半ぶりの安値に(為替介入効果は2カ月で消失)
6/28 日立製作所の時価総額が16兆9420億円となり日本株で4位に浮上「構造改革でAI関連銘柄に」
6/29 米大統領選のテレビ討論会でバイデン大統領が不明瞭は発言を繰り返し「高齢不安」に拍車
6/29 米S&P500の4-6月の3カ月騰落率は+3.9%(エヌビディア1社で上昇分の4割を占める)

【世界投資地図(過去3カ月および年初来騰落率)】

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