ここ数日、調整局面に入っている日経平均株価ですが、11月に入り25年ぶりに23,000円台を回復するなど堅調な動きを見せています。
ところで個人的なことですが、25年前(平成4年)の私と言えば、野村證券で3年目を迎え、バブル崩壊後の相場の中でも、仕事にも慣れて充実した日々を送っていた記憶があります。普段、昔を思い出すことはあまりしないのですが「25年ぶり」というキーワードに反応した次第です(笑)。
もう少し記憶を掘り下げてみると、個人的に一番苦しかったのは、やはり社会人1年目~2年目の平成2年、3年の頃だったように思います。バブル崩壊が始まり、日経平均株価が日々強烈に下がっていく中で、業務経験に乏しい新人証券マンの私は、販売する株式や投資信託が短期間に値下がりし、お客様に損失を与えてしまうことがとても怖かったのです。当然そうすると営業にも今一つ身が入らなく、結構サボっていました。(営業すればするほど、世の中に損失を与えるなら、何もしない方がマシなのではと思い…)
そんな私に対し、上司、先輩方々は厳しくも適切な指導をしてくれました。当時の私の周りには、どちらかと言えば野村證券の現場では少数派の、根性論ではなく合理的な知性を持った方が多く、そこには株式市場や金融市場の状況がどうであれ「どうすればお客様を儲けさせることができるか?」を真剣に考える土壌がありました。
ある日、仕事に自信がなく、不安な日々を過ごしていた私に上司が言いました。
「中浜、知っているか?信じる者と書いて儲かると読むんだぞ。」
「お前はいいものを持っているのだから、もっと自信を持て!」
「自分を信じることができない者に、お客様を儲けさせることはできないぞ!!」
信じる者=儲かる。「なるほどー」と思いました。普段はつまらないおやじギャグばかり言う上司でしたが、この言葉には感心(尊敬?)しました(笑)。
それから25年経過し、以前より信じられるものが少なくなった世の中になった気がします。何でもかんでも信じていたら、すぐに詐欺に引っかかってしまう時代ですから致し方ないのかもしれませんが…。それでも、おそらく時代は変わっても、「信じる者=儲かる」だと思います。
事業にしても、仕事にしても、家庭生活にしても、もし「不信」をベースにしたとしたら、そこに豊かさや成功などのポジティブなイメージは湧いてきません。実際、成功している幸せそうな人は自分のことや他人のこと、世の中のことを、心のどこかで信じているように感じます。
それは資産運用においても例外ではありません。世の中のすべてを不信の目で見ているような人は、かなり高い確率で長期的には儲かりません。
参考までに私が資産運用をするうえで信じるもの、それは下記のような原理原則です。
・長期的に見ると、金融市場は実体経済(GDP)の成長と共に成長する。
・長期的に見ると、金融市場の中でも株式市場の成長が最も高い。
・金融市場は常に上下に変動するものだ(特に株式市場の変動は大きい)。
・個人が投資で着目すべきは、短期の価格変動でなく長期の資産成長である。
・将来を正確に見通すことはできないので、分散投資を心掛ける。
・投資成果は「投資金額」「投資収益率」「投資年数」で決まる。
・投資収益率を決めるのは、「資産配分」「銘柄選択」「タイミング」。
・自分にあった「資産配分」を決めることが重要(人的資産と金融資産)。
・「銘柄選択」は優れた投資信託を活用するのがいい(信じて託せる運用会社)。
・「タイミングリスク」を低減させるため最大限の時間を使うべき(長期継続)。
このような歴史的に見ても、また経済学の理論上も、おそらく正しいと思われる原理原則を信じ、正しく実践する人こそが、人生の豊かさを実現していく者(=儲かる)になるのだと、私は信じています。