今年の最大注目ニュース「11/5米国大統領選挙」は、ご存じのとおり共和党のトランプ氏が圧勝を収めました。マーケットは、選挙結果が早く出たこと、そして次期トランプ政権下で実施が予想される「規制緩和と減税」への期待感から、ポジティブな反応を示しています。今後4年間に関して言うと、トランプ氏のあの性格を考えると、高い確率で不規則かつ変動性が高い相場展開が予想されますが、「規制緩和と減税」は、良くも悪くも経済の活性化と投資機会の拡大に繋がります。各運用会社は、その投資機会の中で「ホンモノ」を探しあてる調査力と洞察力が試されることになるでしょう。
さて先月は、米大統領選挙前の警戒感が高まる月だった割に、比較的落ち着いた展開でした。金利や為替の動向を見ると、トランプ勝利をマーケットは早くから織り込んでいたようにも思えます。それでは中浜の視点から2024年10月を振り返ってみます。
先月、日本では衆議院選挙が実施され与党が敗北しました(自公過半数割れ)。現役世代の手取り額増加を公約に掲げた国民民主党が躍進し、今後の積極財政が意識されたことで円安が進捗しました。
一方で直近の世界経済を見渡すと、かなり複雑な様相を呈していると感じます。ブラジルの長期国債格付けが13年ぶりに格上げされた一方で、経済の先行き不安から久しぶりにインド株が大幅下落。AI半導体の米エヌビディアと台湾TSMCが絶好調である一方で、オランドの半導体大手ASLMの売上が大幅減少。米国経済の堅調さが際立つ一方で、中国と欧州の経済は脆弱さが目立ちます。欧州の高級ブランドLVMH(ルイヴィトン)や高級車フェラーリの株価が、中国需要の弱さから総崩れになっているのは象徴的です。と思えば、欧米中央銀行の利下げで世界の金融株指数は過去最高値更新。
グーグルの7-9月決算はクラウド部門が堅調も、検索広告部門はAIの影響で陰りをみせています。そういえば個人的にもグーグル検索を使う頻度が減って、AIへのQ&Aがメインになっているような気がします。
先月の金融経済のキーワードを挙げるなら、個人的には「複雑性」かなと思いました。次期トランプ政権では、それに「不規則性」が加わり、長期投資家の心理を揺さぶる出来事も多くなるかと思います。長期投資家を心理面からサポートすることも、私たちファイナンシャルアドバイザーの仕事の一つですが、この仕事ますます重要になってきそうな予感がします(苦笑)。
【2024年10月の注目ニュース】
10/1 石破相場 初日1910円安(総裁選後初日の取引としては1990年以降、最大の下落率)
10/2 7-9月の世界主要20資産の上昇率首位は世界REIT(S&PグローバルREIT指数)
10/2 ユーロ圏9月消費者物価指数は前年同月比+1.8%(2%割れは3年3カ月ぶり)
10/2 9月の日銀短観、賃上げやインバウンド効果で小売業や宿泊飲食の景況感が堅調
10/3 米ムーディーズがブラジル長期国債の格付けを一段階引き上げ(13年ぶりにBa1)
10/5 米9月雇用者数は前月比+25万4000人(市場予想+15万人)
10/10 日本の個人事業主や零細企業のコロナ破産が急増
10/10 台湾の半導体大手TSMCの9月売上は前年同月比39.6%増
10/11 米9月消費者物価指数は前年同月比+2.4%(市場予想+2.3%)
10/11 米S&P500 の7-9月増益率予想が+3.9%に鈍化(予想PERは21.6倍)
10/11 日本の個人マネーがインデックス投信に流入加速(1年間で10兆円)
10/16 OPECが世界の原油需要を下方修正(中国の景気減速等が要因)
10/17 オランダ半導体大手ASLMが売上予想を下方修正
10/17 欧州高級ブランドの株価が総崩れ(仏LVMHや伊フェラーリ)
10/18 エヌビディアの株価が4カ月ぶりに最高値更新(AI半導体の需要の強さを再評価)
10/18 米中小型株指数ラッセル2000が3年ぶりに最高値更新
10/19 中国7-9月GDPは前年同期比+4.6%(2四半期連続伸びが縮小)
10/22 米ゴールドマンサックスはS&P500が今後10年で年率3%の上昇にとどまると予測
10/23 IMFは2025年の世界GDPの24年と同様+3.2%と予測(前回予想+3.3%)
10/23 今年度の主要企業の新卒充足率は過去2番目に低く中途採用が初の5割超(日経調査)
10/24 世界の政府債務残高は2024年末に100兆ドルを超える見通し
10/25 日本の未公開会社(五常)が国内運用会社3社から125億円資金調達
10/25 世界の金融株が上昇(MSCI金融は最高値更新)
10/26 トランプ勝利でインフレ圧力が高まることを見込み、米金利と米ドルが上昇
10/28 日本の衆議院選挙で、自公両党は公示前の279議席から64減らし215議席に
10/30 衆院選与党敗北を受け、財政拡張に現実味(強まる円安シナリオ)
10/31 日銀金融決定会合で政策金利0.25%に据え置く
10/31 米7-9月GDP+2.8%、ユーロ圏7-9月GDP+1.5%(独+0.2%が重荷)
10/31 グーグル7-9月は34%増益(一方で広告がAIの影響で陰り、独禁法で解体リスクも)
10/31 インド株、10月は海外勢の資金流出が過去最大に
【世界投資地図(過去3カ月および年初来騰落率)】