この国のかたち

2025.09.28(SUN)

9/22から自民党の総裁選が始まり、5人の候補者が今後の政策について論戦を交わしています。誰になるにせよ、10/4に新総裁が決まることになりますが、自民党は少数与党なので、「連立のかたち」によって今後の日本の方向性も変わってきそうです。

総裁選の状況を観ていると、ふと「この国のかたち」という言葉が浮かんできました。随分前に読んだ司馬遼太郎の歴史随筆のタイトルです。内容はあまり覚えていないのですが、ただワードだけが頭に浮かんできて、今回のブログのタイトルにさせて頂きました(笑)。

今まさに「日本という国のかたち」を、現実に即したものに変えていかなければならないわけですが、「日本固有の問題」と「世界の中での位置づけ」との両面をにらみながら、それを為していくのは、誰が総理大臣になったとしても相当な難題であることは容易に想像できます。

日本固有の問題=国内問題は、最終的に「税(社会保障も含む)の問題」に集約されると私は考えます。高齢者の人口比率の上昇もあり、ネット(公務員はネットでは税金をもらっていると考える)で、税金や社会保険を払っている人の比率が大きく低下し、いわゆる現役世代の税負担が大きくなり可処分所得が上がらない。

一方で、物価上昇によってあらゆるモノやサービスの値段が上がっているので、より厳しい経済環境におかれてしまっている人が増えているのが実態かと思います。特に不動産(マンション等)や食料品(コメ等)といった、生活の基盤を為すモノの値段の上昇率は急激です。ここでは定量的なデータを列挙することはしませんが、「それは違うよ!!」という人はいないのではないでしょうか。

人口問題、少子化問題、高齢化社会、国家財政、経済成長、etc、これらの日本の諸問題を解決するためには、今こそ長期視点に立ち、日本全体を俯瞰して「税」のあり方を見直していかなければなりません。おそらくは税制が「この国のかたち」の現実に合っていない結果、あまりにも未来が見えない状況を醸成してしまっているのだと思います。働いて稼いでも、その半分近く(2025年度の国民負担率は46.2%)を国にお召し上げされるなら、一生懸命働いたり、それを通じて日本の役に立ちたいとか、誰がそんな殊勝なことを思うでしょうか?

税制の変化が日本の未来に好影響を及ぼす可能性が高い事例の一つとして、新NISAがあります。新NISAがきっかけとなり、日本の個人金融資産の投資比率が上昇した結果、2025年6月末の家計の金融資産2239兆円と過去最高になりました。もちろん短期的には投資比率が高まることで、逆に金融資産が減少する局面もあるでしょう。しかし長期的には「貯蓄ー投資比率の改善」は、デフレからインフレの現実に合ったものだと思います。きっかけは税制改正であることを、改めて言及しておきたいと思います。

政治の役割は、「この国のかたち=フレームワーク」をカスタマイズすることです。例えば政府が声高に叫ぶ「賃上げ」などは本来、民間企業の経営者が決める事項です。それはフレームワークの内側にある個々のコンテンツと言えるでしょう。賃上げ問題だけでなく、民間がやるべきことに政府が介入してもろくなことはありません。個々のコンテンツは民間に任せ、フレームワークの最適化を図ることに集中しなくてはならないと強く思います。

世界の中の位置づけ=外交問題、これについては今回のブログで多くは言及しませんが、今年米国で第二次トランプ政権が誕生したことで、世界の政治経済のフレームワークが大きく変わりました。例えば日本経済に関連する事項としては、石破政権下で日米間で決まった約束(相互関税率15%と引き換えに、米国に約80兆円の投資をする)があります。これは今後の日本経済にどのような影響を及ぼすのか?

今年の6/18に日本製鉄が買収したUSスチールに関しては、早くも米国政府が経営に拒否権を発動できる「黄金株」を活用して、日本製鉄の経営に介入をしています。これが国単位で行われた時に、日本は同盟という名の下、実質的には米国の属国になってしまうのではないかと危惧します。

もしかしたら既にそうなっているのかもしれませんが・・・。

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