10月のレポート(中浜の視点)ではAI一極相場がピークを迎える可能性に言及し、これからが興味深い展開と書きましたが、まさに11月はそれを反映したような展開でした。
月初から米国と中国の間で「高関税や輸出規制の発動の1年延期」が決まり、世界株式市場はポジティブなニュースでスタート。過去最長の43日にわたる米国の政府機関閉鎖が終了したことも追い風となりました。一方で、月前半は12月FOMCでの利下げ見送りの意見が多くなり、AI関連銘柄やビットコインなどの仮想通貨が大きく下落。代わって医薬品やヘルスケアの株価が上昇しました。
11月後半に入るとエヌビディアの決算が市場予想を上回る好業績だったこともあり、AI関連株の下落が一服。米国経済の弱い景況感が確認され、再度利下げ期待が高まったこともあり、米国株式は月間でV字回復をしました。しかしながら今後もトランプ政権への支持率低下やプライベート資産市場の不安の高まりから、米国株式市場は波乱の展開が続きそうです。
日本では高市政権が本格始動をして総額21.3兆円の総合経済対策を決定。金融市場ではこの積極財政策に対して円安・金利高(債券安)・株高という反応になっています。台湾問題で日中間の政治的摩擦が高まり経済の先行きも不透明と言われていますが、個人的には正しい方向に向かっていると感じます。
欧州ではドイツ・フランス・イギリスの経済や株式市場が低調な中で、南欧のイタリア・スペイン・ギリシャは観光業やサービス業などの内需拡大で好調です。特に同じ言語圏の南米からの移民が増加しているスペインの株価は、昨年から4割近く上昇しています。
今後の当社の資産運用戦略としては改めて、主要先進国や大型テックだけでなく、様々な投資機会に視野を広げていくことを意識しております。
【2025年11月の注目ニュース】
11/2 米中首脳会談で、高関税や輸出規制の発動の「1年延期」を決定
11/5 米主要500社の7-9月決算のEPSは前年同期比+10.7%(予想PER22.9倍で株価伸び悩み)
11/5 日経平均は1284円安と大幅下落(SBGなどAI関連に急激な調整売り)
11/6 米民主党がNY市長選挙、バージニア州、ニュージャージー州の知事選で3連勝
11/8 今上半期(4-9月)の日本の非製造業は7割が増益と好調(エンタメ・IT関税の影響小さく)
11/8 米EVテスラは株主総会でイーロンマスク氏の最大1兆ドルの報酬を承認(12の目標設定)
11/11 金融庁は、10月の証券口座乗っ取りによる不正売買が前月比78%増(190億円)と公表
11/12 東証REIT指数が3年2カ月ぶりに2000超え(賃料収入の増加を期待)
11/13 東京商工リサーチ調査:日本で人手不足倒産予備軍が1.3万社に(全体の2.5%)
11/13 米国社会でAIが本格的に浸透し始め、雇用が奪われる現実も
11/13 米政府機関の閉鎖が終了へ(過去最長43日間)、NYダウは最高値更新
11/13 米AI新興アンソロピックは500億ドルの設備投資をすると発表(オープンAIに対抗)
11/14 銅価格が歴史的高値で推移(EVやデータセンター等の需要増大と鉱山事故による供給不足)
11/14 日本の国立大学で米国型の大学基金づくりの動きが加速(外資系運用会社の営業が殺到)
11/15 トランプ米政権は、価格上昇が続くコーヒー・バナナの関税を下げると発表
11/15 米国大学の就職市場がコロナ以来の不調(企業のAI導入が若手の仕事を奪う)
11/17 日本の7-9月GDPは年率1.8%減少(トランプ関税の影響で輸出減、6期ぶりのマイナス)
11/17 失速し始めた「トランプ2.0」、離れる無党派、譲歩やめる中国とロシア
11/19 米国で銀行や取引所を介さないプライベート資産の運用規模が増大(大手3社で2兆8700億ドル)
11/19 米国でAI株ラリーの変調を受け、医薬品やヘルスケア株の上昇が目立ってきた
11/19 NYダウが4日で2100ドル安(4万6091ドル)AI集中への警戒で4月以来の下げ幅
11/20 米半導体大手エヌビディアの四半期決算(8-10月)、純利益が65%増で過去最高益
11/21 米アップルはミニアプリの開発業者に課す決済手数料を30%から15%に引き下げる
11/21 ビットコイン価格急落(前日比3%強安で8万6000ドル台)10月上旬の最高値から3割安
11/22 日本政府の総合経済対策が閣議決定、総額21.3兆円と高市政権の積極財政策を反映
11/25 「AI銘柄=テック」は古い感覚?米小売り大手ウォルマートがナスダック市場に上場
11/26 NYダウが3日続伸(11月の消費者信頼感指数が6.8ポイント低下、12月の利下げ期待が高まる)
11/27 政府・与党は投資用不動産の節税策防止に乗り出す(相続評価を購入価格ベースに)
11/27 高市政権の積極財政で日本国債の利回りに上昇圧力(40年債の最高落札3.555%)
11/28 欧州経済で南高北低の傾向が鮮明に(スペイン・イタリア好調、ドイツ・フランス不調)
【世界投資地図(過去3カ月および年初来騰落率)】
