2019年も残すところ約一ヵ月となってまいりましたが、
今年の世界株式市場は予想外の堅調さを保っていると言えるでしょう。
12月には「英国総選挙」「米中貿易問題の第一弾合意がなるかどうか」等、
マーケットを大きく揺るがせかねない政治イベントが控えていますので、
場合によっては、昨年12月と同様の大きな調整がないとも限りません。
しかしながら年間を通してみると、世界的な金利低下による金余りと
米国を中心に「思ったよりは悪くない企業業績」との組み合わせが、
昨年、大きく下落した株式市場を反転・上昇させたということだったのでしょう。
このままいけば…、今年の株式市場のパフォーマンスは「かなり良かった」
という結果になりそうではあるのですが、自分自身の肌感覚では、
巷の投資家の運用成績はそんなに良くないのではと感じています。
世界の政情不安(特に米中貿易問題)、景気後退に対する不安、不規則な株式市場の変動、
その他トランプ大統領のツイッターとかもそうですが、
製造業の設備投資が、米中問題の先行き不透明を理由に身動きがとれず様子見になったのと同様に、
個人投資家も機関投資家も総じて投資マインドが盛り上がってこなかった1年だった気がします。
要するに「マーケットの上昇に乗れなかった投資家の数多し」ということです。
※ソフトバンクもウィーワークへの投資で大赤字を出していましたね。
私も資産運用の世界で30年近くマーケットと向き合ってきましたが、
本当に株式市場の動きを予測するのは難しいと感じますし、
資産運用において「マーケット・タイミング」にフォーカスしすぎる弊害というのも
年々強く感じるようになってきました。
ちなみに今年の動きは、2017年にとても良く似ている気がします。
実は2017年は世界株式インデックスMSCIAC(円ベース)は約20%も上昇しましたが、
日本経済新聞の投資家調査では、実際にプラスのリターンを出した投資家の比率は約60%。
逆を言えば、実に約40%の人はゼロもしくはマイナスに終わっていたのです。
実はこの例は珍しいことではなく「この世界でしょっちゅう起きている現象」なのです。
日々の変動に一喜一憂して無駄な売買をしたり、ちょっとでも安い価格で買いたいと様子を見ているうちに投資をし損なったりということが、主な原因と考えられます。(企業の本源的価値より割安で買うのはバリュー投資という立派な投資手法だが、単にタイミングで安く買いたいという場合、ここには他人を出し抜きたいという気持ちが潜んでいるからなのか、なぜか裏目に出やすい。)
短期変動(リスク)を受け入れ、長期の成長(リターン)を獲りにいく「長期投資のスタンス」をベースに置くことが、やはり個人投資家の投資戦略の王道であることを、2019年の相場も2017年同様に教えてくれたような気がします。
私たちがお客様(特に現役世代の皆さん)にご提案する資産運用で、フォーカスすべきは、目先の価格変動で得した損したなどということではなく、「将来キャッシュフローを生み出す良質な投資ポートフォリオをつくること」にあります。
本当に怖いのは目先の価格変動リスクではなく、将来の経済基盤となるキャッシュフロー(収入)が細っていくリスクであるという問題意識を、毎年積みあがっていく有り難いマーケットからの教訓と共に肝に銘じつつ、あと1ヵ月を過ごしていきたいと思います。
急に寒くなってきましたので、皆さんもくれぐれも健康に気をつけて師走に向かってください!
それではまた。
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