マーケットレビュー(2019年4-6月)

2019.07.09(TUE)

【全体観および私見】

201946月期の「世界の社会・経済・金融市場」を振り返ります。
米中貿易戦争が始まって約1年が経過、また英国のEU離脱問題も先送りされており、グローバルに事業を展開するメーカーはサプライチェーン(供給網)を見直すべきか、もう少し様子をみるべきか、なかなか動きがとりづらい状況が続いています(そろそろ動き始めていますが…)。
そんな中、徐々に製造業の事業マインドは悪化、それが今、実体経済に影響を及ぼし始めていると言えるでしょう。非製造業に関しては、各国の内需の強さもあり、概ね堅調と言えますが、これらの一連の動きが市民生活にいつまでも悪影響を及ぼさないということはありえません。
一方で世界経済の悪化を見越し、各国の中央銀行は金融緩和に舵を切りました。その結果、201946月期の株価は堅調。しかし一方で、米国の金融緩和から為替市場では円高ドル安が進み、日本人の海外資産投資の3ヵ月リターンは、円ベースでは概ね横這いでした。
直近四半期の金融市場において注目すべき点は、世界的な景気減速と金利低下の綱引きの中での株価上昇、そして為替市場で起きている円高ですが、それはあくまで表層的な現象面の動きであり、マスコミが日々話題にしやすい情報(ネタ)とも言えます。
弊社は金融市場(マーケット)を、よく海に例えることがありますが、マスコミから発信される情報は、概ね表面的な波の動きを事後的に説明したものが多く、長期投資の役に立つものは殆どありません(むしろ弊害になると言ってもいい)。
本当のお宝は、海の中に存在します。魚貝類や海藻、さらには海底に潜む海洋資源のように。
長期投資で成果を上げるにも、マーケットの表層の波に着目するのではなく、マーケット(海)の中に存在する個別企業(魚)の成長に注目しなくてはなりません。
下記の「20194-6月の注目ニュース」にも表層部分(波の部分)と海底部分が混在していますので、是非そんな視点からご一読頂けたら幸いです。
20194月-6月の注目ニュース】
4/2 三菱UFJ銀行、2020年春の新卒採用数を45%減(約530名)に。
4/3 2050年の世界人口構成、約6人に1人が65歳以上に(現在11人に1人).
4/9 IMF2019年の世界GDP予測を0.2%引き下げ3.3%とする。
4/14 世界の株式時価総額が約7ヵ月ぶりに水準を回復(景気減速下の株高)。
4/17 米主要500社の1-3月期は5%マイナス見通し(11期ぶり減益)。
4/20 OECD、世界の先進17カ国で中間層が減少している実態を報告。
4/21 世界の自動車株の時価総額は、昨年ピーク時から21%減少している。
4/25 中国半導体メーカー、ファーウェイ以外に「ファブレス500社」が台頭。
4/27 平成の「大納会」。日経平均終値は22258円(ピークは平成元年末38915円)。
4/27 平成の30年間、時価総額の増加トップはトヨタ、2位はキーエンス。
5/8 米大統領、中国に追加関税(2000億ドルに25%)を通知。
5/8 米大統領、イランに追加制裁(鉄鋼、アルミ、銅等の取引)。
5/15 米商務省はファーウェイへのハイテク部品の禁輸措置を発動。
5/18 米小売ウォルマート、アマゾンへの対抗策の成果が上がり始めている。
5/21 世界の民間航空機のパイロット不足が深刻化しつつある。
5/23 2019年度 日本のゼネコン8社の受注見通しが前年比1割減。
5/27 米トランプ大統領が令和最初の国賓で来日。
5/30 米大統領がメキシコへの関税引き上げを発表(不法移民対策が不十分)。
5/31 貿易戦争の激化を懸念し、NY株式急落(-354㌦)。
6/3 海外からの訪日客で、東南アジアの比率高まる(GDP15000㌦超)。
6/3 金融庁が「老後2000万円不足する」という報告書を公表。
6/4 生産性競争が深く静かに進行。新技術(AIIOTVR)が一般化する途中。
6/4 世界製造業が減速。5月の世界製造業PMI49.86年半ぶりの低水準)。
6/4 NY株式512ドル高。FRBパウエル議長の発言で利下げ期待強まる。
6/7 人口動態統計、2018年の出生数は91.8万人と3年連続100万人割れ。
6/20 米欧の金利低下を受け、為替市場では1ドル107円台の円高水準。
6/20 ビジネス対話アプリの米スラック、資金調達をしないかたちで直接上場。
6/25 世界主要企業のCEO報酬、米国15億円、欧州6億円、日本1億円。
6/26 日本経済新聞社が算出した均衡為替レートは1ドル107円台。
6/28 米主要企業の株主還元が過去最高(設備投資、MAへの慎重姿勢)。
6/27 米フォードが1.2万人、独BASF0.6万人のリストラ実施。
6/28 G20大阪サミット。米中貿易協議再開(関税第4弾見送り)。
【金融市場動向(20194-6月)】
世界の長期金利
3月末
6月末
3ヵ月変化率
日本10年国債
-0.10%
-0.17%
-0.07%
米国10年国債
2.40%
2.00%
-0.40%
ドイツ10年国債
-0.07%
-0.33%
-0.26%
英国10年国債
0.99%
0.82%
-0.17%
国内株式
3月末
6月末
3ヵ月変化率
日経平均株価
21205.81
21275.92
0.3%
TOPIX
1591.64
1551.14
-2.5%
ジャスダック平均
3444.19
3405.61
-1.1%
東証REIT指数
1907.36
1938.82
1.6%
海外先進国株式
3月末
6月末
3ヵ月変化率
NYダウ工業30種
25928.68
26599.96
2.6%
S&P500
2834.4
2,941.76
3.8%
ナスダック
7729.32
8006.24
3.6%
FTSE100
7279.19
7,425.63
2.0%
DAX
11526.04
12,398.80
7.6%
香港ハンセン
29051.36
28542.62
-1.8%
海外新興国株式
3月末
6月末
3ヵ月変化率
上海総合
3090.76
2978.88
-3.6%
インドSENSEX
38672.91
39,394.64
1.9%
ブラジルボベスパ
95414.55
100,967.20
5.8%
ロシアRTS
1198.11
1,380.52
15.2%
商品
3月末
6月末
3ヵ月変化率
原油WTI先物(ドル)
60.14
58.47
-2.8%
NY金先物(ドル)
1293.0
1409.7
9.0%
CRB指数(ドル)
183.75
181.04
-1.5%
為替
3月末
6月末
3ヵ月変化率
米ドル/
110.81
107.81
-2.7%
ユーロ/
124.31
122.59
-1.4%
英ポンド/
144.31
136.91
-5.1%
豪ドル/
78.70
75.70
-3.8%
NZドル/
75.48
72.40
-4.1%
カナダドル/
82.93
82.32
-0.7%
スイスフラン/
111.31
110.46
-0.8%
南アランド/
7.68
7.66
-0.3%

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