パーソナルファイナンスの実践にあたり、各々の人生の中でお金とどうつき合うべきか? 考えるべきか?ということについて、私は自分自身を「3人の自分をマネジメントする経営者」だと意識すると、比較的うまくいくのではと提案しています。
①
1人目は収入を稼ぐ「働く自分(ビジネスパーソン)」のマネジメント。
現実の社会経済の中で、自分自身の価値観をベースに、強みを活かし、弱みが何かを知り、それをどう補完するかを考えることで、ビジネスパーソンとしての価値を最大化させていく道筋が見えてくるのではないでしょうか。経営者の自分が、社員の自分を客観的に分析して、アドバイスを送るというアプローチも面白いと思いませんか?
②
2人目は支出をする「お金を使う自分(消費者)」のマネジメント。
個人的には、最近この2人目の自分をどう扱うべきか?ということに大変関心があります。パーソナルファイナンスの一般論としては、働く自分の満期がきた後(退職後)に、貯えがなければ生活に困ってしまうので、現役時代に支出は収入以下に抑え、貯蓄や投資をしようという量の面だけが重視されがちです。
しかしながら今この時、お金をどう使うかが、最もリアルタイムにその人の価値観が反映される瞬間でしょうし、自分というものを超え、選挙で投票する以上に世の中を変えていくインパクトがある行為なのだと思います。
例えばプラスチック製のストローを極力使わないレストランで食事をする。少し値段は上がりますが、あらゆる生物の共通の生存基盤である地球の保全に貢献することができます。それだけでなく、やはり社会正義に反していたり、自分自身の価値観に合わなかったりする会社の商品やサービスは使わないというのも大切なことなのだと思います。
そうしていくことが社会を少しでもいい方向に前進させていくのだと思います。ポイントが貯まってお得という視点だけの消費活動の広がりは、本当に人間の精神を貧弱なものにしかねないと危惧します。
③
3人目は、資産を管理する「投資家としての自分」マネジメント。
「働く自分が生み出したプラスのキャッシュフロー」、「消費者としての自分が使ったマイナスのキャッシュフロー」の差額が、年々蓄積され「資産」となります。
資産形成の目的は、働く自分がキャッシュフローを生み出さなくなった時の経済準備ですが、貯蓄だけではなぜダメかというと、貯蓄の金利は一般的にインフレ率(物価上昇率)に負けてしまい、長期的に購買力が減価してしまうからです。
だからこそ長期的に価値を保存し、成長させる投資(長期投資)が重要になってくるわけです。しかしながら投資においては、貯蓄と異なるいくつかのリスクがあり、そのリスクに対する深い認識(および対処方法)がなければ、投資によって資産価値を向上させるどころか、貯蓄よりも減らしてしまうことになりかねません。
リスクの中でも、特に価格変動リスクに対する認識と対処が最も重要な点になってくるでしょう。2018年12月現在、金融マーケットは大荒れ状態で、大半の資産価格も大きく下落しています。このような時期は、マーケットの変動の波を受けているのは自分だけではないことを十分認識しておかなければなりません。
世界中の個人投資家、機関投資家が等しくその影響を受けているのです。
にもかかわらず、後で振り返ると運用が上手くいっている投資家とそうでない投資家が出てくるのは、このような時期の心の持ち方や対処法の違いによるものなのです。
以上、思うことをつらつらと書きましたが、皆さんも改めて、3人の自分をマネジメントする経営者として、平成の次の時代を豊かに生きるためのファイナンシャルプランを考えてみてはいかがでしょうか?