10月に円ベースで約9%と大幅下落を記録した世界株式指数(MSCIACインデックス)ですが、11月は総じて一進一退の動きでした。政治経済面では株式市場の動きとは相反し、大きな動きがいくつも見られました。
【金融市場の動き】
世界経済の先行きに対する不安から、先進国の長期金利は低下しました。特に米国では住宅需要に陰りが見え始めており(新築一戸建て住宅の販売は4ヵ月連続減少)、米国10年国債金利も3%割れとなりました。
世界の長期金利
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11月
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前月比
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年初来
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日本10年国債
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0.09%
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-0.05%
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0.04%
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米国10年国債
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2.99%
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-0.15%
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0.59%
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ドイツ10年国債
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0.31%
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-0.08%
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-0.12%
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英国10年国債
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1.34%
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-0.11%
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0.16%
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強弱材料がある中、とりあえず先月までの下落に歯止め。ただ米中貿易戦争問題で何らかの妥協があることへの期待から株式が買戻されたに過ぎず、上値を追う雰囲気は全くないのが現状。東証株価指数の予想PER(株価収益率)が約12倍と割安であることで下値も堅いのだが…。金利低下で上場不動産投信(REIT)は上昇。
国内株式
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11月
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前月比
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年初来
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日経平均株価
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22351.06
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2.0%
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-1.8%
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TOPIX
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1667.45
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1.3%
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-8.3%
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ジャスダック平均
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3576.31
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0.4%
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-9.5%
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東証REIT指数
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1816.96
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4.1%
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9.3%
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米国株式はFRBパウエル議長の利上げのトーンが弱まったことで月間を通すと小幅上昇。欧州株式については、政治面、経済面から逆風が強まっており今月も下落。ドイツでは7-9月GDPがマイナス成長になり、DAX指数は年初来安値を更新中。一方でドイツ株式の予想PERは約11倍まで低下しており割安感はかなり出てきている。
海外先進国株式
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11月
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前月比
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年初来
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NYダウ工業30種
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25538.46
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1.7%
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3.3%
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S&P500
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2760.17
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1.8%
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3.2%
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ナスダック
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7330.54
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0.3%
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6.2%
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英FTSE100
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6980.24
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-2.1%
|
-9.2%
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独DAX
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11257.24
|
-1.7%
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-12.9%
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香港ハンセン
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26506.75
|
6.1%
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-11.4%
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(11月末の新興国株式)
米国の金利低下を受け、新興国市場は落ち着きを取り戻しました。特に原油価格の大幅下落を受け、石油を大量に輸入しているインドの株式市場は大幅高。
海外新興国株式
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11月
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前月比
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年初来
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上海総合
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2588.19
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-0.6%
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-21.7%
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インドSENSEX
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36194.30
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5.1%
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6.3%
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ブラジルボベスパ
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89504.03
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2.4%
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17.1%
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ロシアRTS
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1126.14
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0.0%
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-2.5%
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(11月末の商品市況)
原油は10月に-11%、今月-22%と急落。世界経済の成長率鈍化に加え、米国シェールガスの増産等で需給が緩和されていることが原因。
商品
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11月
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前月比
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年初来
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原油WTI先物(ドル)
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50.93
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-22.0%
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-15.7%
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NY金先物(ドル)
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1220.2
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0.7%
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-6.6%
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CRB指数(ドル)
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181.74
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-4.8%
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-6.3%
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為替市場では、先月のリスクオフの円高から、若干リスクオンの円安へ。特に今年大きく売り込まれていた資源国通貨、新興国通貨がリバウンドした月となりました。
為替
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11月
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前月比
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年初来
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米ドル/円
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113.50
|
0.5%
|
0.7%
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ユーロ/円
|
128.51
|
0.5%
|
-5.0%
|
英ポンド/円
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144.64
|
0.3%
|
-4.9%
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豪ドル/円
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82.95
|
3.8%
|
-5.7%
|
NZドル/円
|
78.03
|
6.0%
|
-2.3%
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カナダドル/円
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85.43
|
-0.5%
|
-4.7%
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スイスフラン/円
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113.60
|
1.4%
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-1.8%
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南アランド/円
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8.19
|
7.0%
|
-10.4%
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