今、米国の中間選挙の結果を気にしながら、このブログを書いています。
結果は結果として、今後の影響を見ていきたいと思いますが、この選挙のプロセスで明確に言えるのは、トランプ大統領の出現によって米国(米国民)は真っ二つに分断されたということでしょう。
今、世界の誰もが、そんな漠然とした不安を持っており、それが経済や市場に影を落としている側面もあるように感じます。
【マーケットコメント】
日米の主要株価指数が9月末に今年の最高値を更新し、4-6月期の好調な企業業績等を素直に評価する展開も束の間、10月は一気にリスクオフの状況になりました。
それを受け、国際通貨基金(IMF)も2019年世界GDP成長率を+3.9%から+3.7%に下方修正をしました。
これまでもたびたび(そして色々と)ブログで述べてきたところですが「なぜ長期的に経済は成長するのか?」「そしてそれに伴い金融市場も成長するのか?」という点について、改めて触れておきたいと思います。
簡単に言えば、経済成長とは「需要と供給が拡大していく」ということです。
人口が増えたり、寿命が延びたり、経済的に豊かになって購買力が増すことで需要は増加します。
供給力の拡大は、働く人の増加や、働く年数(時間)の増加、また技術革新等による生産性向上によってもたらされます。
だからその結果、金融市場は成長し続けることができるというわけです、
そんな企業群の集合体である株式市場ですが…、
【過去20年で世界経済(GDP)は約2倍になり、世界株式市場(MSCIACWI)は約3倍になった。】
【今後20年の人口増加と生産性向上を考慮すると世界経済(GDP)は約2倍になることが予想されている。果たして20年後の株式市場は?】
しかし一方で、生き残った企業も、必ず途中で厳しい局面を経験しています。むしろ、それを乗り越え、さらに強くなっていくのが、長期にわたって成長し続ける企業の共通の特長です。
様々な環境変化を乗り越え、成長を実現していくプロセスにおいて、必ず企業業績にも波が生じます。それに伴い株価が大きく下落することもあるでしょう。しかし、そのような時期における経験こそが、後で振り返ると長期の成長の種になっているのです。
弊社が提供するファンドポートフォリオも、長期的に経済や市場の環境変化を乗り越え、持続的な成長を実現していく企業(有価証券を通じ)にアクセスすることを目的としておりますので、こちらも当然のように、何度か逆境という場面に出くわすことになります。
米国10年国債利回りは一時3.24%まで上昇。財政悪化(歳出拡大、減税等で2018年度は前年比で約17%赤字額が拡大)、足元の堅調な景気(7-9月GDP+3.5%)、FRBの利上げ継続予測、米中貿易戦争(関税引き上げ)等による輸入物価の上昇が主な要因。
この金利上昇が引き金となり、10月の金融市場は一気にリスクオフに傾きました。その結果、逆に月末には金利が低下、米国10年国債は3.14%の水準に落ちつきました。
一方、ユーロ圏の7-9月GDPが+0.6%(4-6月は+1.8%)まで低下しました。明らかに欧州の景気は減速してきております。また政情不安の度合いも増しております。ドイツ地方選挙で与党が大敗し、メルケル首相が時期党首選には出馬しないと表明、英国のEU離脱問題、イタリアのポピュリズム政権による財政問題(EUとの対立)等々、欧州の政治・経済の不安定な状況を反映して、安全資産であるドイツ国債の利回りは低下しました。
世界の長期金利
|
10月
|
前月比
|
年初来
|
日本10年国債
|
0.13%
|
0.00%
|
0.09%
|
米国10年国債
|
3.14%
|
0.07%
|
0.74%
|
ドイツ10年国債
|
0.39%
|
-0.09%
|
-0.04%
|
英国10年国債
|
1.45%
|
-0.12%
|
0.27%
|
(10月末の日本株式)
日経平均は2199円58銭安(-9.1%)と大幅下落。先月までの上昇を一気に打ち消したかたちとなりました。単月の下落幅としては2008年10月のリーマンショック時(2682円88銭下落)以来、10年ぶりの下落幅になります。下落率で見ると2016年6月の英国EU離脱時の(-9.6%)以来の大きな下落率になります。しかし、日本の実体経済について言うと、今後、外需に関しては心配ですが、災害対策等のインフラ投資などの公共投資の増額も決定されており、内需は今後も堅調であることが予想されます。そういった意味では、日本株の割安度と安定度が、グローバル投資家にとって(相対的に)魅力的に映っているように感じます。
国内株式
|
10月
|
前月比
|
年初来
|
日経平均株価
|
21920.46
|
-9.1%
|
-3.7%
|
TOPIX
|
1646.12
|
-9.4%
|
-9.4%
|
ジャスダック平均
|
3563.17
|
-7.0%
|
-9.8%
|
東証REIT指数
|
1745.97
|
-1.8%
|
5.0%
|
(10月末の先進国株式)
欧米、アジアの先進国株式も大幅下落。米国株式はかろうじて年初来のプラス圏を維持していますが、欧州・アジアの先進国は完全に昨年末比でマイナス圏に落ち込みました。
米中貿易戦争の影響が7-9月期になって、実体経済のマクロ面(GDPや景況感)、ミクロ面(企業業績)において出始めています。一方で米国経済独り勝ちから米国金利が一時急上昇したことで、新興国を中心に国際金融市場に米ドル高の悪影響も出始めています。
海外先進国株式
|
10月
|
前月比
|
年初来
|
NYダウ工業30種
|
25115.76
|
-5.1%
|
1.6%
|
S&P500
|
2711.74
|
-6.9%
|
1.4%
|
ナスダック
|
7305.90
|
-9.2%
|
5.8%
|
英FTSE100
|
7128.1
|
-5.1%
|
-7.3%
|
独DAX
|
11447.51
|
-6.5%
|
-11.4%
|
香港ハンセン
|
24979.69
|
-10.1%
|
-16.5%
|
(10月末の新興国株式)
ブラジルでは「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ氏が大統領選で勝利し、次期大統領に決まりました。彼は大衆迎合のポピュリズム政治家ですが、その経済政策についてはブラジルの景気回復を後押しするものと期待されており、ブラジル株式、通貨ブラジルレアルが大きく上昇しました。一方でその他の新興国は、グローバル経済の減速、米国金利上昇を受けて、大きく下落しました。
海外新興国株式
|
10月
|
前月比
|
年初来
|
上海総合
|
2602.78
|
-7.7%
|
-21.3%
|
インドSENSEX
|
34442.05
|
-4.9%
|
1.1%
|
ブラジルボベスパ
|
87423.55
|
10.2%
|
14.4%
|
ロシアRTS
|
1126.21
|
-5.5%
|
-2.4%
|
(10月末の商品市況)
9月は米国とイランの対立による、イラン産原油の全面禁輸等の可能性が意識されて大幅上昇した原油価格ですが、10月は米国での原油在庫の増加が顕著であることから、一気に大幅反落となりました。国際情勢の不安から金価格は小幅上昇しましたが、米ドルが強いうちは、リスクオフ=金の買いという図式にはなりにくいかと思います。
商品
|
10月
|
前月比
|
年初来
|
原油WTI先物(ドル)
|
65.31
|
-10.8%
|
8.1%
|
NY金先物(ドル)
|
1212.3
|
1.7%
|
-7.2%
|
CRB指数(ドル)
|
190.97
|
-2.1%
|
-1.5%
|
(10月末の為替市場) ※ 黒字は円安、-赤字は円高
世界的なリスクオフの状況で、為替市場では、米ドルにグローバル投資資金が集中。しかしながら比較的安定した通貨として評価される円に関しては、ドルと同様に買われ、ドル以外の通貨に対して大幅上昇となりました。
為替
|
10月
|
前月比
|
年初来
|
米ドル/円
|
112.98
|
-0.6%
|
0.2%
|
ユーロ/円
|
127.83
|
-3.1%
|
-5.5%
|
英ポンド/円
|
144.22
|
-2.6%
|
-5.2%
|
豪ドル/円
|
79.90
|
-2.7%
|
-9.1%
|
NZドル/円
|
73.59
|
-2.3%
|
-7.9%
|
カナダドル/円
|
85.87
|
-2.4%
|
-4.2%
|
スイスフラン/円
|
112.01
|
-3.2%
|
-3.2%
|
南アランド/円
|
7.65
|
-4.8%
|
-16.3%
|