まもなくリーマンショック(2018年9月15日)から10年を迎えます。
「あの頃、皆さんはどのような状況でしたか?」
※お客様にも多大なご心配をおかけした時期でした。
【マーケットコメント】
まず8月最初に注目したのが米国アップル社の決算。同社の4-6月期決算は過去最高益となり、時価総額は史上初の1兆ドル超えとなりました。その後アマゾンドットコムがこの1兆$クラブの仲間入りとなりましたが、おそらく次はグーグル(アルファベット)とマイクロソフトでしょう。とにかくこの4社の時価総額の増加額は凄まじく、過熱感も感じますが、ITバブル時と異なり、事業の実態を伴っているだけに、現在の株価水準については専門家の意見もわかれるところです。
次に米国長期金利についてです。前半に米国経済の強さを反映して1ヵ月半ぶりに10年国債の金利が3%台に乗せてきましたが、後半にはFRB議長が米国にインフレの兆候は見られないという発言をして、先行きの利上げの打ち止め感から、結局、米国10年国債利回りは3%を割れとなりました。このことが米国株式市場にとってポジティブに受け止められ、株式市場の上昇を後押ししました。
8月は世界各国の企業の4-6月期決算の数字も確定しました。米国企業は24%増益、その他地域(日欧アジア)についても概ね10%~20%の増益率となり、足元の企業業績がかなり堅調であることが確認されたのです。
そして先月の最大注目点はトルコショックでしょう。米国人牧師の拘束を巡る外交問題がきっかけとなり米国とトルコとの関係が悪化。米国はトルコに経済制裁を発動し、8月10日にトルコリラは1日で20%下落しました。その後、現在もトルコリラの下落に歯止めはかからず、その他の新興国通貨にも、その流れが波及し、新興国通貨全体が対米ドルで大幅に売られています。
また米中貿易戦争も収まる様子がなく、人民元の下落と共に株式市場(中国上海指数)も、2015年8月の人民元ショック時の水準まで下落しています。貿易戦争に影響が少ないと思われたIT大手テンセントも、当局からの規制(指導)によって、ゲーム事業が不調となり、4-6月期決算が最終減益となりました。※人気オンラインゲーム「モンスターハンター」が発売5日で配信停止。このことはテンセントショックと呼ばれ、ゲーム業界全体に悪影響を及ぼしています。
日本経済もグローバルな貿易戦争やそれに伴う金融市場の変調の影響を受けています。人民元安によって中国人旅行客の増加ペースに減速感が見られ、今後も一時的かもしれませんが、日本への旅行客の数および消費額の減少が予想されます。この影響でいわゆるインバウンド銘柄は大きく下落、またこれらの様々なリスク要因の増大が、投資家心理に影を落とし、IPO(新規公開株)やマザーズなどの小型株市場は、一時期のバブル的様相が弾けた感じになっています。直近マザーズに上場したメルカリの株価が大きく下落している影響も波及しているのではないでしょうか。
最後になりますが全体的に見ると、やはり8月末現在、経済も金融も米国の独り勝ち状態と言えます。しかもその中でアップル、アマゾン、グーグル、マイクロソフトの4社は突き抜けており、米国株式市場の上昇分の大半を占めています。投資資金の一極集中とそれ以外に割安な銘柄が続出している状況は、表面的には2000年初頭のITバブル時を彷彿させます。あの時に割安株への投資はその後大きな財産となりましたが、今回はどうなるでしょうか?
【金融市場の動き】
FRB議長のインフレ兆候見られない発言で米国金利は低下。トルコショックによる欧州経済の先行不安でドイツ金利も低下。一方日本は日銀が0.2%程度までの長期金利上昇容認。
世界の長期金利
|
8月末
|
前月比
|
昨年末比
|
日本10年国債
|
0.11%
|
0.05%
|
0.07%
|
米国10年国債
|
2.86%
|
-0.10%
|
0.46%
|
ドイツ10年国債
|
0.34%
|
-0.11%
|
-0.09%
|
英国10年国債
|
1.44%
|
0.11%
|
0.26%
|
(8月末の日本株式)
材料難で動きが乏しく横ばい。
国内株式
|
8月末
|
前月比
|
昨年末比
|
日経平均株価
|
22865.15
|
1.4%
|
0.4%
|
TOPIX
|
1735.35
|
-1.0%
|
-4.5%
|
ジャスダック平均
|
3823.35
|
0.1%
|
-3.2%
|
東証REIT指数
|
1752.65
|
-0.9%
|
5.4%
|
(8月末の先進国株式)
米国の一人勝ち状態。トルコショックの影響で欧州株式市場は下落。
海外先進国株式
|
8月末
|
前月比
|
昨年末比
|
NYダウ工業30種
|
25964.82
|
2.2%
|
5.0%
|
S&P500
|
2901.52
|
3.0%
|
8.5%
|
ナスダック
|
8109.54
|
5.7%
|
17.5%
|
英FTSE100
|
7432.42
|
-4.1%
|
-3.3%
|
独DAX
|
12364.06
|
-3.4%
|
-4.3%
|
香港ハンセン
|
27888.55
|
-2.4%
|
-6.8%
|
(8月末の新興国株式)
トルコショックの影響で新興国は再度大幅に売られる。インドのみ堅調。
海外新興国株式
|
8月末
|
前月比
|
昨年末比
|
上海総合
|
2725.25
|
-5.3%
|
-17.6%
|
インドSENSEX
|
38645.07
|
2.8%
|
13.5%
|
ブラジルボベスパ
|
76677.53
|
-3.2%
|
0.4%
|
ロシアRTS
|
1092.29
|
-6.9%
|
-5.4%
|
(8月末の商品市況)
金が1年ぶりの安値圏。安全資産としての魅力が薄れているかも。
商品
|
8月末
|
前月比
|
昨年末比
|
原油WTI先物(ドル)
|
69.8
|
1.5%
|
15.5%
|
NY金先物(ドル)
|
1200.3
|
-1.9%
|
-6.3%
|
CRB指数(ドル)
|
192.96
|
-0.8%
|
0.3%
|
(8月末の為替市場) ※ 黒字は円安、-赤字は円高
新興国通貨、資源国通貨が暴落。
(トルコリラとアルゼンチンペソは対米ドルで年初から半値水準まで下落)
為替
|
8月末
|
前月比
|
昨年末比
|
米ドル/円
|
111.09
|
-0.7%
|
-1.4%
|
ユーロ/円
|
128.94
|
-1.5%
|
-4.6%
|
英ポンド/円
|
143.99
|
-1.9%
|
-5.4%
|
豪ドル/円
|
79.85
|
-3.9%
|
-9.2%
|
NZドル/円
|
73.50
|
-3.6%
|
-8.0%
|
カナダドル/円
|
85.12
|
-0.9%
|
-5.0%
|
スイスフラン/円
|
114.63
|
1.5%
|
-0.9%
|
南アランド/円
|
7.56
|
-10.3%
|
-17.3%
|