当社がアクティブファンドにこだわる理由は、企業価値を評価するというリサーチのプロセスが、大切なお客様の資産を運用する際に、絶対に必要不可欠だと思っているからです。
アクティブファンドが大半を占めていた時代は、各運用会社がリサーチ活動を通じて幅広い企業の価値評価をしていたので、結果的にマーケット全体の価格形成も企業価値評価から大きく乖離することはありませんでした。それはマーケット全体への投資=インデックスファンドの健全性が担保されていたことを意味します。
しかし昨今のインデックスファンド全盛時代においては、お金が入ってきたら自動的にインデックス採用銘柄を買う仕組みのファンドが大多数ですから、企業価値を評価するという作業がないままにマーケットの価格形成が為されており、それはインデックスの健全性が担保されていない状態とも言えます。現在の株式市場では、実際の株価と本質的な企業価値との間に大きなギャップが生まれている可能性が高く、それがリサーチ機能を有するアクティブファンドに、潜在的な超過収益(α)獲得の機会を提供しているように見えます。
アクティブファンドとインデックスファンドのどっちが良いか論争は、永遠に結論を得ることがない議論だと個人的には考えています。インデックスファンドの人気があるところまで高まると、振り子は逆に振れてアクティブファンド優位になり、その後アクティブ比率があるところまで高まると、インデックスの健全性が回復しインデックスファンドが優位になる。長い目で見ると、このように振り子が振れてるだけの話のような気がしています。
さて2024年の流行語大賞に新NISAがノミネートされました。今年は新NISA元年で、日本でもついに「貯蓄から投資」の動きが顕著になってきたように思います。新NISAの投資対象の中で、最も資金を集めたのは三菱UFJアセットマネジメントが運用する低コストインデックスファンドeMAXISシリーズ。中でも全世界株式に投資をするeMAXIS Slim 全世界株式(通称:オルカン)は、一大ブームを巻き起こしたといっても過言ではありません。
特定の国や業種に偏ることなく、世界の主要株式全銘柄に分散投資をして、積立投資で長期保有するのが最良。このオルカンの根底にある考え方は、投資初心者にとっても納得性が高く、しかもコスパが良い投資戦略です。
しかし前述したとおり、インデックスブームが高まれば高まるほどマーケットの価値評価機能は失われ、人生において大事なお金を不健全なマーケットに突っ込むというジレンマが生じます。オルカンは全世界の2648社(2024年10月末時点)に分散投資していますが、実際は上位10社(9社が米国のテック企業、1社が台湾のTSMC)で21.5%を占有。米国株比率は全体の65%、IT関連は全体の32%となっており、オルカンに資金が流入すればするほど、米国の大型テック銘柄により多くのお金が集まり、さらにそれらの株価が上昇、結果的にまたインデックスも上昇するという好循環が起きています。
株式市場には元から人気投票的な側面がありますが、そこで企業価値の評価機能を失えば、需給関係だけで株価が決まることになりかねません。今起きている好循環マーケットも潜在的には不健全リスクをはらんでいるような気がします。
ところでバリューマネジメントの社名は、資産価値(バリュー)をしっかり守り(マネジメント)、お客様のよりよい人生の実現に貢献する会社を創りたいと思ったことに由来しますが、実は20代、30代の頃、バリュー投資の神様ウォーレンバフェットとマネジメントの父ピータードラッカーの本を読んで感銘を受けていたことも大きな理由となっています。当社の社名は「バフェット+ドラッカー」という最強の組み合わせからできているのです(笑)。
しっかりとしたリサーチと価値評価(バリューの軸)をベースに、資産管理(マネジメントの軸)をおこなう。そんな当社の創業の理由自体が、そもそも市場任せにするインデックスファンドとは相容れないのかもしれません。
そんな背景もあって、当社はお客さまの資産価値の健全性を守り抜くため、引き続きリサーチ機能を有するアクティブファンドにこだわっていきたいと思っております。