ついに米国で第二次トランプ政権が発足しました。いい意味でも悪い意味でも大きな変化が予想される2025年です。そんな中、1月の主要中央銀行の金融政策決定会合は、それぞれに異なった様相でした。
日本は利上げ(0.25%→0.5%)、米国は据え置き(4.5%)、ユーロ圏利下げ(3%→2.75%)。それに加えて各国の日々の長短金利の動きも微妙に異なっていました。それは景気・物価・財政などが複雑に絡み合ってのことです。
為替市場では、各国の金利動向を反映して円が全面高に。しかし構造的な円安構造(個人投資家の海外投資増や貿易赤字やデジタル赤字)は変わらず、対米ドルで大幅な円高への流れにはなっていないのが現状です。一方で日本の12月消費者物価が前年同月比で+3%、これは今や世界の先進国の中でも高い伸び率。実質金利は未だマイナス状態なので、日銀のさらなる利上げがあった場合の円高は要注意が必要です。
世界の株式市場では米国一極集中が今後どうなるかが最重要ポイント。年初から多くの運用会社のストラテジストが「集中から分散の重要性」について発言し始めています。逆に実業の世界では、よりAIへの集中投資が加速(ソフトバンクの孫さんに象徴されるように)。思い起こすと、昨年の年初のテーマはグレートリバランス(中国のエクスポージャー削減)で、中国から米国や日本に資金が回帰した年だったように思います。
さて今年のテーマになるかもしれない「集中から分散」はどうなるでしょうか?1月の動きの中では気になったニュースとして、中国のAI開発企業ディープシークの成長を受けエヌビディア株が1日で17%下落したことを挙げたいと思います。この出来事は集中投資の危うさを感じさせられる象徴的なものでした。マグニフィセント7の一角を為すテスラも業績が振るわないにも関わらず、トランププレミアムで株価が上昇してきましたが、決して持続性があるものではないでしょう。
様々なマーケットの事象を観察していると、おそらく多くの専門家が言及し始めている「分散投資の効果」が証明される2025年になるような気がします。
【2025年1月の注目ニュース】
1/4 今年のS&P500 予想増益率は+15%(米国株は日本株の時価総額の10倍超に)
1/6 英国はスターマー政権の増税政策で景気失速(右派リフォームUKが台頭)
1/7 カナダのトルドー首相が辞任(在任9年)トランプ関税を巡り閣僚と対立
1/8 米エヌビディアCEOがAI搭載のヒト型ロボットが一気に拡大する見方を示す
1/8 米国長期金利に上昇圧力(関税政策や大型減税がインフレにつながるとの見方)
1/8 米運用会社ヌビーン:トランプ政権の保護主義で国内設備投資が増加、小型株に追い風
1/9 米運用会社ハリス:米大型テック集中投資はリスク、日本は魅力的な投資先
1/10 米ゴールドマンサックスはトランプ政権下でM&A加速すると予想
1/12 米12月雇用統計は予想を大幅に上回る前月比25.6万人増
1/14 世界半導体主要10社の設備投資額は前年比2%減(AI需要に偏り、EV・スマホが失速)
1/15 トランプ減税、通信セクターに恩恵(今年はS&P500内のM7と493の増益率差は縮小)
1/16 12月米消費者物価は前年同月比+2.9%(3カ月連続加速もコア指数は落ち着く)
1/16 米銀大手4社の10-12月決算は大幅増益(ゴールドマンは利益倍増)
1/17 新NISA2年目、第2週の投信への資金流入額が9000億円超(前年比2倍で過去最高)
1/17 米国主要企業の10-12月決算が本格化(予想は11.4%増と7-9月5.7%増から加速)
1/18 2025年のIMF世界経済見通しは0.1%上方修正して3.3%(米国を0.5%上方修正)
1/18 中国の24年実質GDPは+5%に減速、今年は追加関税で+4.4%予想
1/18 2024年の日本のIPOは86社(前年比10%減)時価総額100億円未満が51%と小粒
1/19 JPモルガン:S&P500の今後10年の平均リターンは年3%にとどまる可能性に言及
1/20 米国で第47代大統領にドナルド・トランプ氏が就任(初日のメキシコ・カナダへの関税発動は見送り)
1/22 欧州株、景気低迷下に関わらず利下げ期待で大型株中心に最高値更新
1/23 トランプ政権、AI規制路線を転換(SBGやオープンAIなどが5000億ドル投資)
1/23 米債券市場でトランプ政権の積極財政政策に警戒感高まる
1/24 日銀は短期金利を0.25%から0.5%に引き上げ(12月CPIは前年同月比+3.0%)
1/25 日米金利差縮小も構造的なマネーフローから円安基調に大きな変化なし
1/25 東証REIT大幅反発、割安感から海外投資家の見直し買い
1/25 米国で液化天然ガス(LNG)開発が活発化、大幅増産と輸出で価格は5年後半値予測
1/30 日本上場企業の今期の配当金総額は18兆円と4年連続で過去最高になる見通し
1/30 米FRBはFOMCで4会合ぶりに金利据え置き(FF金利誘導目標4.25~4.5%)
1/31 中国新興企業ディープシークのAIに脚光(チャットGTP並みの性能で価格は十分の一)
【世界投資地図(過去3カ月および年初来騰落率)】
