先月の世界株式市場では、改めてAI関連銘柄への集中投資が目立ってきており、年初の一極集中から多極分散への展開が完全に逆流した感じです。
2025/8/27のFTコラム「AIバブル崩壊に備えよ」によると、米テック大手のグーグル、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、メタは2025年と26年の2年間、4社だけでAIモデル向けのデータセンターに7500億ドル(約110兆円)もの巨費を投じる予定。米金融大手モルガン・スタンレーはこの分野への世界的な投資額が、29年までに3兆ドルに達すると予想している。だが、不安を募らせる投資家はますます、疑問を持つようになっている。「この莫大な設備投資はどのようなリターンを生むのか?」「歴史は彼らが抱く懸念が正しいことを示唆している」と記事は警鐘を鳴らしています。
加えてトランプ大統領のFRBへの介入が米ドルの信認が低下させており、結果として仮想通貨や金に大量の資金が流入しています。この動きはまさにバブルと言ってよいでしょう。歴史を紐解くとバブルは必ず弾けます。
21世紀初頭のITバブル時は、一部のIT企業の株価が目も当てられないような下落をし、それは二度と元に戻ることはなく、消え去る会社も多くありました。一方で今まで人気がなく買われてこなかったバリュー株が、逆に大きなリターンをあげたのです。
その時に脚光を浴びた人が米国の著名投資家ウォーレン・バフェットです。そして約25年後、引退間近のバフェットが、今まさに、全く投資対象として人気がない医療保険大手ユナイテッドヘルスGと鉄鋼大手ニューコアの株式を取得しました。歴史は繰り返すのか?大変興味深い局面です。
【2025年8月の注目ニュース】
8/1 7/30FRBは5会合連続で金利据え置き、7/31日銀は4会合連続金利据え置き
8/1 マイクロソフトの時価総額が4兆ドル突破(AI収益化が奏功)
8/2 MSCI世界株指数のうち「自動車・部品」は昨年末比で15%下落(時価総額2000億ドル減)
8/2 米石油メジャー2社の4-6月純利益は大幅減(エクソンモービル23%減、シェブロン44%減)
8/3 米テック4社(グーグル・MS・アマゾン・メタ)の4-6月設備投資は前年同期比67%増(950億ドル)
8/3 米7月雇用は+7.3万人(予想+10万人)、5月、6月の確定値も大幅下方修正で利下げ圧力増
8/5 米テック企業が好業績の中、人員削減を加速(1-7月期で前年同期比4割増の約9万人)
8/6 日銀の資金循環統計によると、2024年日本企業の資金余剰は25.6兆円と11年ぶりの規模に
8/6 米国の4-6月の家計債務残高は18.4兆ドルと過去最高(前年同期比3%増)
8/8 日本の主要ネット証券5社の4-6月決算は合計で19%減(証券口座乗っ取り被害補償が逆風)
8/9 世界株高(金融緩和とAI相場が共振)米株は時価総額の伸びの8割をAI関連10社が占める
8/12 エヌビディアとAMDは中国向け半導体売上の15%を米政府に支払うことが明らかに
8/13 世界の農林漁業分野への投資は過去20年で約2.5倍増加したが、日本では4割減少
8/13 日経平均株価が1年1カ月ぶりに最高値を更新(米関税の影響を楽観)
8/15 日本の4-6月GDP速報値は年率1%増(予想0.3%増を上回る)
8/15 米バークシャーが医療保険大手ユナイテッドヘルスGと鉄鋼大手ニューコアの株式取得
8/15 米GDP成長率(潜在成長率1.8%)、2025年は1%程度に減速へ(23年~24年は3%程度)
8/19 中国株が10年ぶりの高値(テック・EV銘柄が株価牽引)
8/21 EV向けの電池が世界で供給過剰に(供給が需要の3.4倍、価格3割安)
8/21 AIバブル論への警戒感が高まりナスダック指数が短期調整(3週間ぶりに下落)
8/22 米とEUが貿易協議に関する共同声明を公表(相互関税および半導体・薬の分野別も15%上限)
8/23 日本の10年国債は1.61%まで上昇(17年ぶりの高水準)株高で日銀利上げ思惑
8/23 米ウォルマートの5-7月営業利益は8.2%減(関税コスト吸収しきれず)
8/23 NYダウが過去最高値更新(4万5631ドル)利下げ期待が高まる
8/26 米大手ソフトウェアの株価が下落、生成AIがビジネスモデルの脅威(SaaSの死)
8/26 世界企業(25000社)の4-6月純利益は7%増(AI・半導体堅調、車、エネルギー低調)
8/26 米動画配信ネットフリックスが、2026年3月開催のWBCの日本における独占中継を発表
8/28 エヌビディアの5-7月期決算は売上56%増、純利益59%増(AI好調で過去最高更新)
8/29 欧州車、関税打撃で総崩れ(1-6月純利益:VW37%減、BMW29%減、メルセデス56%減)
8/30 日本の2025年1-6月の出生数は33万9000人と過去最少を更新(前年比3.1%減)
【世界投資地図(過去3カ月および年初来騰落率)】
