本日の日本経済新聞(朝刊)に、三井住友FGが大学の資産運用を一括代行する事業を開始するという記事が掲載されています。当記事によると、日本の大学の運用資産総額は約10兆円で、その内訳をみると8割超を預金や国債が占めており、投資信託は7.4%、株式は2.4%と積極的な成長投資はわずか1割くらいにとどまっているとのことです。
当社も資産運用の事例として、お客様にも頻繁にご紹介するトピックですが、欧米の大学では約9兆円規模の資産運用を行っているハーバード大学やエール大学を筆頭に、長期の資産運用によって大学運営の資金を賄っています。この日米の大学の「財務力=資産運用力の差」が、研究力や人材力の差につながっているとも言われています。
そんな状況下、日本でも個人金融資産、年金資産、そして大学などの金融資産が、インフレ環境下において「貯蓄から投資」へ大きく舵を切ろうとしているように見えます。まさしく大航海時代ならぬ「大運用時代」の幕開けといったところでしょうか。
一方で投資される側の企業サイドでも大きな変化が起きようとしています。今年の7月頃に予定されているコーポレートガバナンスコード(2015年に導入)の改定がそれです。
「コーポレートガバナンス・コード」とは、上場企業に対して、幅広いステークホルダー(株主、従業員、顧客、取引先、地域社会等)と適切に協働しつつ、実効的な経営戦略の下、中長期的な収益力の改善を図ることを求める行動原則と定義されていますが、2018年6月改訂・2021年6月再改訂に続いて、今回は3回目の改定になります。
【主なポイントは4点です】
①コーポレートガバナンス・コードのプリンシプル化・スリム化
取締役会の議論を実効的なものにするため、議長や独立社外取締役等を支援する重要な役割を果たす
事務局の機能強化を促進
②経営資源の適切な配分
多様な投資機会(研究開発投資・人的資本投資等)があることを認識し、現預金を含めた資源の配分が
適切かを不断に検証することを求める。
③有価証券報告書の定時株主総会前の開示の促進
投資家との建設的な対話を後押しするため、投資判断に重要な情報が掲載されている有価証券報告書
を上場企業が株主総会前に開示する取組を更に促進。
④取締役会事務局の機能強化
取締役会の議論を実効的なものにするため、議長や独立社外取締役等を支援する重要な役割を果たす
事務局の機能強化を促進。
以上の4点を意識しながら、最近のニュースを見て思うに・・・、
ニデックやオルツの粉飾決算などは、背景に取締役会の機能不全があったでしょうし、サッポロビールが恵比寿の土地を売却、フジ・メディア・ホールディングスが大手町のサンケイビルを売却するといったニュースも、今回のコーポレートガバナンスコード改定の流れに沿った動きだと感じます。
投資される側は、無駄な現預金や不動産を持つことの意義を問われ、バランスシートを効率的にして、長期的な価値創造(キャッシュフロー創出)を厳しく求められる時代になってきました。投資する側も大事且つ大きな資金を投資するのですから、それを求めるのは必然。
大運用時代の到来を感じさせる2つの景色(運用サイドと調達サイド)が、今まさに見えてくるようです。