「バスに乗り遅れるな!!」とばかりに、みんなが天国行きのバスに向かって走り出している時、少し距離を置いて、自分は自分のペースで歩いていこうと思える人は少ないのではないでしょうか?
投資や資産運用の世界でも、このような状況に遭遇したり、自分だけ乗り遅れているのではという心理状態になることは、割とよくあることです。一方で、天国行きのバスと思っていたが実は地獄行きのバスだったというオチも割とよくあることです。だから自分の道を自分のペースで歩いていく方がストレスや悔いが少ないし、最終的には長期投資を成功させる安全なルートだと、個人的には思っています。
さて今の株式市場において、天国行きのバスは「AI関連企業」と言えるのではないでしょうか?
今年度、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタは4社合計で100兆円にのぼるAIへの巨額投資を決めており、その恩恵を受けるAI半導体やデータセンター建設に必要な部材を扱っている会社の売り上げ・利益は急拡大しています。4社で日本の国家予算に匹敵する規模の投資をするなんてことは、かつての常識では考えられないレベルの話です。
AI投資の恩恵を受けている筆頭格がAI半導体大手エヌビディアです。同社の時価総額は足元で5兆ドル(日本円で約800兆円)に達しており、たった1社の株式時価が日本の名目GDP(約680兆円)を超えている状況です。日本は落ち目とはいえ、米国・中国・ドイツに次いでGDP規模は世界4位。その日本の政府・企業・家計が1年間で生み出す経済価値(GDP)の全てを投入しても、エヌビディア1社でさえ買収することができない。これもかつての常識では考えられないことです。
バリュー投資の神様ウォーレン・バフェットが株式市場の割高感を測るために用いたシンプルな指標にバフェット指数というものがあります。S&P500の時価総額と米国GDPの規模を比較して(S&P500÷GDP)、株式市場の時価総額がGDP規模を超えて100%以上の数値になったら、株式市場は過熱しており要注意のシグナルという公式です。
ちなみにその数値は現在200%を超えてきており、過去の常識的なレベルを遥かに超えています。
このことは「AIに乗り遅れるな!」と世界中の企業が一斉に走り出したことによって生み出された光景だと思いますが、それを助長しているのがインデックスファンドだと推察します。
企業の業績や株価の割高感などは考慮せず、とにかく現時点で時価総額が大きい企業からその割合に応じて全て買うというインデックス投資が主流になり、株式市場は価値評価機能を失いつつあります。メガテックのAIの巨大投資による急速な利益拡大が、足元で企業利益と株価の整合性を保っておりますが、そのことが本質的かつ長期的なリスクを覆い隠しているようにも感じます。
米国S&P500は、気づけばマグニフィセント7+半導体大手3社の時価総額が約50%を占め、またS&P500平均と比較した株価変動(感応度)も高いことから、当社の試算では現在10社の値動きでS&P500の約8割が決定される状況になっています。オルカンで有名なMSCIオールカントリーは約2500社に分散投資をしていますが、米国の大型テックやAI・半導体企業の影響度が増してきており、S&P500ほどではないにしろ、実質的にはインデックスがAI関連に支配されつつあります。
AIがもたらす仕事の生産性向上やヘルスケア分野での活用(人々の健康促進)などの正の側面よりも、今はむしろ、人の仕事や電力や水などの膨大なエネルギーを奪ったり、戦争で使われたりなど、AIの負の側面もクローズアップされています。ちなみに世界でAIが一番社会に浸透しているであろう米国では、AIを毛嫌いして敵とみなす人がかなり増加しているようです。
株式市場もAIに奪われつつあり、インデックスがAIに支配される状況が続いた場合、私たちの資産運用において、どのようなリスク管理が有効なのか、事前に色々と想定して考えておかなければと思う今日この頃です。
もしかしたら・・・このこともAIに聞いた方がいいのですかねー(苦笑)。