金融業界の未来

2019.03.11(MON)

「これから数年で日本の金融業界は激変していく。」

多くの人が、そう予感がしているのではないでしょうか。

おそらく一番敏感に感じ取っているのは、既存の金融機関(銀行、証券、生損保)で働いている人たちでしょう。


それは銀行から有望な若手社員が続々と転職をしている現状に表れているような気がします。おそらく証券や生損保業界でも同様のことが起きていると推測します。

このような状況に陥るトリガーを引いたのは、20161月に始まった「日銀のマイナス金利政策」だと思います。これで銀行は利ザヤが稼げなくなり、加えて国債などの安全資産での運用もできなくなり、安定収益(ある種の既得権)が奪われることになりました。

さらには近年の金融監督庁の法令順守に関する厳しい姿勢が、いわゆるコンプラ不況を招いている可能性も否定できません。


金融業界全体として自業自得という側面があるにしろ、日銀のマイナス金利政策で安定収益を奪われ、法令順守は当然かつ最も大切なことですが、実際には金融機関のアニマルスピリッツを奪い、積極性を失わせている。
そのような感覚は、金融の現場で働く人達の多くが持っているように思います。

「金融機関の人間は悪いことをする」という性悪説をベースにルールが変更され「金融機関は利用者や社会のニーズに応えていない」という烙印を押されるなど、今まで金融機関が果たしてきた良い側面を全否定するような風潮があるとするなら、それはちょっと行き過ぎのような気がします。

テクノロジーの発展で、既存の金融業界は新興のフィンテック企業に取って代わられる。資産運用も人間よりもロボットやAIに任せた方が、安くて良質なサービスが受けられる。


そんな近未来予想図が政治や行政やマスコミを通じ語られているように感じますが、個人的にはこのような風潮から生み出される金融業界の未来にポジティブなイメージを持つことは全くできません。

金融サービスを享受するお客様は、血も涙もないロボットではなく、様々な価値観や感情を持つ人間だということを忘れてはなりません。


ビッグデータやアルゴリズムで分析することで「個々の人生とお金に関する正しい意思決定」を簡単に導きだせる、そんなものでは決してないのだと思うのです。

だから金融業界で働く皆さん、厳しい環境かもしれませんが頑張ってまいりましょう。

「人間の私たちにしかできない仕事はなくならない」

「それどころかますます重要になってくる。」


それが未来の事実になっていると私は思います。
(とは言え、今のままのやり方では、本当に駄目になっていくということも自覚しながら…)。


2011年3月11日の東日本大震災から8年目の今日。


日々元気に仕事ができることに感謝しつつ、ファイナンシャルアドバイザーという仕事の本質を改めて確認し、しっかりとお客様と向き合っていかなければならないと、私も心を新たにしたところであります。

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