日本の個人金融資産の合計金額は、2016年9月末時点で1752兆円。
当然、弊社がお客様からお預かりしている運用資産も含まれているわけですが、ここで問題です。
Q.日本の個人金融資産1752兆円が生み出す年間の利息・配当収入(インカムゲイン)の総額はいくらでしょうか?
A.答えは14兆円。
よって日本人の資産運用利回り(元本の変動除く)は、14兆円/1752兆円=約0.8%となります。
一方、米国と欧州(ユーロ圏)の状況を見ると、下記のとおり(円換算ベース)。
【米国】個人金融資産(2015年時点)=約8400兆円、利息・配当収入=259兆円。資産運用利回りは、259兆円/8400兆円=約3.2%。
【欧州】個人金融資産(2016年時点)=2676兆円、利息・配当収入=98兆円。資産運用利回りは、98兆円/2676兆円=約4.1%。
利息・配当金額を比較すると、日本:米国:欧州=14兆円:259兆円:98兆円。運用利回りの比較では、日本:米国:欧州=0.8%:3.2%:4.1%。
実は上記の数値は、あくまでインカムゲインに着目した数字であり、元本の変動である値上がり、値下がり(キャピタルゲイン)を加味していませんが、それを加味した長期データを分析しても、おそらく日本の資産運用利回りの順位が上がることはありません。
残念ながら圧倒的な差です。長年、資産運用業界で仕事をしてきた人間として責任を感じてしまいます。
このデータからは、現役時代に懸命に働き、せっかく貯めたお金が、ほとんど収益を生まないで、将来の豊かさに貢献できていない。そんな日本人の平均的なライフスタイルが浮かんできます。
この差を生み出す大きな原因になっているのが、個人金融資産の全体バランス=「預貯金‐投資比率」にあると、私は見ています。(それに加えて資産運用会社の運用スキルの差等)
日本の金融資産に占める預貯金比率は約52%、米国は約14%、欧州は約35%。一方で投資(株式+投資信託)の占める比率は、日本は約14%、米国は約46%、欧州は約25%となっています。
この数字を見て、皆さんはどう感じますか?
将来に向け必要な投資をしない会社に成長はありませんが、実は個人も一緒だと思います。「長期投資(自分の能力開発も含め)なくして豊かな未来なし」ではないでしょうか?
高度経済成長時代は、個人の代わりに、国や企業や銀行が投資をして、その分け前をもらうことで、個人の退職後の生活が成り立つモデル(間接金融モデル)でしたが、現在は人生を支える投資活動を、個人の責任で行わなくてはならない時代(直接金融モデルの時代)がきていることを認識しなければなりません。
バリューマネジメントは、長期投資を通じ、弊社のお客様の長期的な資産運用利回りを向上させることが主業務です。それが日本全体の資産運用利回りの向上および経済成長にも繋がると信じ…。それと、いつまでも米国や欧州に負けているのも癪ですしねー。
ブログを書きながら「自分の負けじ魂」に火がついてきました(笑)。
(注)上記数値は、一橋大学院国際企業戦略研究科の調査レポート(2017年5月)からの抜粋。