今月も、先月の経済・金融の振り返りを致します!
足元の世界経済は(米中日を中心に)景気拡大基調が続いていますが、年初と比較すると勢いに欠けています。また最近では、欧州と新興国の一部に顕著な減速感が見られ、世界経済を天気に例えると「晴れのち曇り」という感じでしょうか。
一方で世界の金融市場、5月前半は米国株式を中心に堅調でしたが、後半は米国の保護貿易政策による世界貿易の縮小懸念(実際に縮小しつつある)、米国金利高に端を発した新興国経済(アルゼンチンやトルコ)の苦境、イタリアでEU懐疑派の政権が誕生等々、マーケットに対して悲観的な材料が満載で、リスクオフの相場展開を余儀なくされました。
為替市場ではリスクオフから、米ドルが上昇しユーロが急落しましたが、米ドル以上に買われたのが日本円です。年初からの円高は、弊社のお客様の国際分散投資ポートフォリオにもマイナス要因ですが、為替はあくまで交換レートであり、それ自体が何かの価値を生み出すわけではありません。長期的には為替変動よりも、やはりグローバルな視点で価値を創出する投資機会にアクセスすることが肝要です。
【先月のポイント】
①
米トランプ大統領が政権の実績作りに躍起になっていることが、世界経済と国際政治を混乱させています。トランプ大統領の動きのベースにあるのは「11月の中間選挙に勝つこと」のみにあるようにも感じます。イラン問題、北朝鮮問題、中国との貿易戦争、全て選挙に勝つためというのは言い過ぎでしょうか?
②
トランプ大統領が仕掛けた保護貿易政策の影響を最も受けているのが欧州だと思います。それに加え南欧(イタリア・スペイン)の政局不安も相まって、堅調だった欧州経済に減速感がでてきました。ユーロ安はそれを反映しながらも、逆に貿易面では有利になることによって、今後の欧州経済を下支えする要因にもなります。
③
米国長期金利が一時3.13%まで上昇し米ドル高も進捗しました。その影響もあって新興国金融市場が波乱の状況に陥りました。ブラジル株式市場は先月10%を超える急落、アルゼンチンは金融不安で通貨安となり金利が年率40%まで急上昇。その他、米国の経済制裁が強化されたイラン、政情不安のトルコも厳しいです。しかしながら、このような状況をどのように見るかがポイントです。波乱の中には常に将来の投資機会が潜んでいる。長期投資においては、そのような視点を持つことが大切です。
④
日本の1-3月GDPは9四半期ぶりにマイナス。景気拡大は足踏み状態ですが、堅調さは保っており、現状では今後悪化するという感じではありません。賃金も前年比+3.2%と約20年ぶりの上昇を示し、デフレ脱却の可能性もでてきています。しかしながら国内政治は相変わらずモリカケ問題ばかりで、グローバル経済・政治における日本の存在感が希薄にありつつある現状には、大変危機感を覚えます。
【金融市場の動き】
(5月末の長期金利)
日本10年国債 0.03% 前月比-0.02% 昨年末比 -0.02%
米国10年国債 2.86% 前月比-0.09% 昨年末比 +0.46%
ドイツ10年国債 0.34% 前月比-0.23% 昨年末比 -0.09%
英国10年国債 1.22% 前月比-0.02% 昨年末比 +0.04%
(5月末の先進国株式)
東証株価指数 1747.45 前月比-1.7% 昨年末比-3.9%
米国S&P500 2705.27 前月比+2.2% 昨年末比+1.7%
米国ナスダック 7442.12 前月比+5.3% 昨年末比+7.8%
ドイツDAX 12604.89 前月比-0.1% 昨年末比-2.4%
英国FTSE100 7678.20 前月比+2.2% 昨年末比-0.1%
(5月末の新興国株式)
中国上海総合 3095.47 前月比+0.4% 昨年末比-6.4%
インドSENSEX 35322.38 前月比+0.5% 昨年末比+3.7%
ブラジルボベスパ 76753.61 前月比-10.9% 昨年末比+0.5%
ロシアRTS 1153.96 前月比+0.8% 昨年末比+0.7%
(5月末の商品市況)
WTI原油先物(1バレル)67.04ドル 前月比-2.2% 昨年末比+11.0%
NY金先物(1オンス) 1300.1ドル 前月比-1.2% 昨年末比-0.5%
(5月末の為替市場) ※ +は円安 -は円高
米ドル/円 108.84円 前月比-0.4% 昨年末比-3.4%
ユーロ/円 127.33円 前月比-3.6% 昨年末比-5.8%
英ポンド/円 144.68円 前月比-3.9% 昨年末比-4.9%
豪ドル/円 82.39円 前月比+0.1% 昨年末比-6.3%
以上