長年、金融マーケットで仕事をしてきましたが、一般の人より少しできるようになったかなと感じるのが「俯瞰(ふかん)する」ということです。
「俯瞰」の意味を辞書で調べると「高いところから見下ろし眺めること」と定義されています。
「俯瞰」に近い意味で「鳥瞰(ちょうかん)」という言葉もあります。鳥瞰はいわゆる鳥の眼を持つということで、これも俯瞰と同様、「高いところから見下ろし、大局観を持って、物事を見る」ということです。
さて昔話になりますが、私が野村證券に入社して間もない頃、株式の売買業務(トレーディング)で、お客様を儲けさせることができないで悩んでいた時期がありました。
そんな時私は、本社の有名なチャート分析の●●部長に内線電話をかけ、その悩みの解決策を聞いたところ…
●●部長曰く
「中浜君は市場の変動と一緒に目線と気持ちが上下するから、結果的に高い価格で買って安い価格で売ってしまうのだと思うよ。目線と気持ちを一定にして、市場の変動と向き合わなければ儲けることはできないよ!」
「なるほどー」と思いました。
おそらく、私はこの時初めて「俯瞰」の大切さについて学んだのだと思います。
そして今思うと当時の野村證券は、支店の新入社員が本社の部長に突然電話をして質問ができる、そんな企業文化があったのだなーと妙に懐かしく感じたりもします(笑)。
その後、私の仕事は短期的な株式売買(短期トレーディング)ではなく、投資信託を通じた長期ポートフォリオ運用(長期インベストメント)へと大きく変化しましたが、物事を俯瞰的に捉えることの重要性は何ら変わりません。
最近(特に米国金利の急上昇で株式市場が大きく下落した2月2日以降)、市場の変動が大きくなっています。しかし新人証券マンの頃の私のように、目線や感情を上下させてはなりません。
過去の経験則から、時間軸の中で俯瞰するなら、このように一旦市場が不安定になってくると、落ち着くのに2ヵ月~3ヵ月くらいはかかるかなという捉え方をします。
要するに2月2日を起点にするなら、今は一カ月経過した地点におり、春先くらいまでは不安定な市場心理が続くかもしれません。
おそらくこの不安定な時期に、巷では誤った意思決定をする投資家が大幅に増えるでしょう。その繰り返される誤りから、投資家を救うことができる手法こそが長期投資です。
だからこそ私は当ブログ「長期投資の視点」で、不安定さ(リスク)を俯瞰し許容しながら、「裏付けのある資産に継続投資をしていくことの重要性」をお伝えしていきたいと思うのです。
そして「俯瞰すること」は資産運用に限らず、仕事や家庭でも使えるスキルだと確信する今日この頃です。
※個人的には、家庭では俯瞰するスキルが上手く使えてない気がするのですが…(笑)。